宮城・万石浦 水産業に光 カキ出荷再開

AAI Fundさん
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■シーン1

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の水産業。生産量が全国2位の宮城県のカキ養殖業も深刻なダメージを受けた。

 石巻市と女川(おながわ)町にまたがる万石浦(まんごくうら)では、津波によりカキ養殖のイカダのほとんどが流され、60センチを超える地盤沈下でカキの処理場はすべて使えなくなり、今季のカキ生産は絶望的と思われた。

 しかし、先月(10月)30日には今年のカキの初出荷にこぎ着けた。万石浦に面した女川町内の針浜(はりのはま)カキ処理場では、早朝6時から漁師とその家族40人ほどが、前日水揚げしたばかりのカキをむく作業に追われ、例年と変わらない風景が見られた。

 船舶や港、市場、養殖施設などを失った漁業関係者が地域の中心産業の復興に力を注ぐ中、宮城県内では例年より1カ月遅れで、養殖カキの出荷が県内6カ所のカキ処理場で一斉に始まった。

シーン2 品質に自信 復旧の道、少しずつ

 女川(おながわ)町の漁師たちは6月ごろからカキ養殖の復活を目指して動き始め、流されたカキを集めて養殖棚につり直す作業を行った。地盤沈下した女川町針浜地区のカキ処理場では、岸壁をかさ上げして処理場を1カ所に集約、出荷にこぎ着けた。

 針浜地区長の木村七郎さん(63)は「回収はしたがロープが絡まってダメになったものや、カキ同士がこすれてはがれ落ちるなどした。例年の半分も取れれば…」と、肩を落とすが、「収穫を1カ月延ばしたうえ、海の栄養も十分。風評被害に負けないカキが取れたはず」と、品質については胸を張る。

 しかし、今年、宮城県全体のカキ生産量は例年の10%程度に激減する見込みで、石巻市内にある処理や加工の施設は復旧のめども立たない。

 少しずつ復旧の道を歩む良質な宮城県産カキ。関係者には一部笑顔も戻ったが、完全復活にはまだ時間がかかりそうだ。
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