井川大王製紙前会長が、子会社から106億8千万円もの金を借りて返済に行き詰まり、22日東京地検特捜部に特別背任の疑いで逮捕された事件がありました。
当初は、創業家3代目のボンボンが、悪い取り巻きにおだてられて子会社に金をたかり、豪遊三昧の挙句に隠しきれなくなって悪事露見。とはいっても、いずれは一族で借りた金の帳尻を合わせ、事件にはならないと見ていた向きも多かったように思われます。
ところが、借り入れた金額があまりにも巨額で、一族で面倒を見るよりも本人に罪を着せ、会社の損失にしたほうが得策と判断して、今回の逮捕劇になったようです。この結果損失は、一族と関係のない一般株主も負担することになり、会社の支配権はあい変わらず一族が持ったままです。
事件は今後、司法の手で解明されることになりますが、3代目のボンボンとはいえ東大法学部卒の超エリートが、何故100億もの大金を海外のカジノで負けたという点が引っかかります。
私もラスベガスは大好きで10回ほど行っていますが、一度もゲームに参加したことがありません。それが自慢です。始めから損することが分かっているギャンブルにのめりこまなくても、素晴らしいショーや良質の宿泊設備に体験型のエンタメと食事、それにコロラド高原で車を疾走させることも、砂漠のオアシスでゴルフを楽しむこともできます。
「損するかどうかは、やって見なくては分からん?」て・・・。おっしゃる通りですが、ギャンブルの相手はプロです。だから一度や二度は勝たせてもらえても、結局は負けるように仕組まれているのがいやなのです。
東大法学部卒の超エリートが、このことを知らないはずがありません。ではなぜ・・・。彼はプロに勝つ自信があったからです。どんなゲームでも最終的には確率に帰着するわけですが、確率以外にも勝機があるといいます。彼は自分の頭のよさに酔うあまり、勝機を勉強しプロに勝てると考えたのです。
このことは、すべてのリスク資産を持っている人たちにとっても他人事ではありません。動物は生まれたときから競争に晒され、勝ち残ったものだけが生き延び子孫を増やせるのです。人間も競争を避けていては、いい生活を送ることはできません。投資も、そのひとつなのです。
とはいっても、カジノのギャンブルのようにプロと勝負して勝つのは至難の技です。株式投資も金を掛けて勝負するという点では、カジノのゲームと同根です。特に短期の投資では、プロと同じ土俵で勝負しなくてはなりません。
私には勝つ自信はありません。東大出のエリートではないからでしょうか。