私は四半期決算短信という資料を頻繁にチェックします。
上場企業の3か月ごとの業績を要約した資料ですが、
業績が予定通り積みあがっているか?
それとも下がり傾向なのかが判断しやすい資料だからです。
ですが、投資初心者にとって四半期決算短信は手を
出しにくい資料です。
どこを読んでいいかわからないのが、主な理由なのですが
今回は、四半期決算短信を読むポイントを解説します。
決算短信や財務諸表の資料については、各企業ホームページの株主、
投資家情報欄から取得できます。
それでも見つからない場合は、パソコンのキーワード検索で
「企業名 決算短信」などで調べてみてください。
これで見つかるはずです。
決算短信はだいたい10ページ程度の資料で、PDF形式で
閲覧します。
中には決算短信の中に財務諸表も載っています。
流れとしては、まず決算短信で企業の成績を確認した後、
気になった部分の詳細を財務諸表で確認していくというのが
セオリーです。
下記の表は富士製薬工業 4554 の平成22年度第3四半期の
決算短信資料です。
→ http://www.kabulast.com/4554.jpg
これは1ページ目の資料ですが、ここで必ず読んでおくべき
項目が3つあります。
まず重要な部分は赤い枠で囲った上側、1の経営成績です。
売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益と続き、今期の
成績を上段に、対象となる前期の成績を下段に載せて比較
しているのは、どこの会社でも同じ書式となります。
まずは売上高をチェック、ここが伸びているかどうかが重要です。
この資料では前期売上高が120億円、今期が147億円で前期比22%
伸びていますから問題ありません。
次に、その右部分の利益欄を読んでいきます。
営業利益、経常利益、四半期純利益と3つ並んでおり、ややこしい
のですが、私の場合は純利益を最も重視しています。
3種類の利益は通常同じような伸び率になりますが、異なった
伸び率を示すことも多々あります。
例えば営業利益は15%だった会社が、為替差益があって経常利益が
25%に伸びたり、他には特別損失が発生して純利益が8%に減って
いたりします。
極端な例では、営業利益は赤字でも、特別利益が発生して純利益は
黒字になっている会社などもあります。
これは本業の利益はマイナスでしたが、会社の資産や他の何かを
売却して利益を出していると読むことができます。
その詳細は決算資料で調べていけばわかります。
あと、3つの利益のどれが最も重要かということについてですが、
これには各論あり、書物によっては営業利益を重視しているもの、
経常利益を重視しているものもありバラバラです。
新聞などでは経常利益を最も重視していますので、企業の会計は
経常利益を良く見せるようにしています。
これには経費を計上する項目を分けたりしていくのですが、
ここまで細かく知る必要はないかと思います。
その理由は、そのような会計をしても、最後の数字である純利益は
動かせないことと、
米国では純利益に重きを置いていることがあります。
純利益は最終利益なので、すべての利益、損失を加えなければ
いけませんし、ごまかすことはできません。
そのことから、私は純利益を重視していること、他には1株利益や
PERを出す時も純利益から計算されているので、元々一番目に
する数字だったということがあります。
1株利益は純利益を株数で割ったもの、PERは現在の株価を
1株利益で割った数字ですから、純利益を確認しておけば、
銘柄を把握する上でも便利なのです。
なお補足ですが、4半期報告書は4半期ごとの成績を発表している
のではなく、トータルでの成績を発表しています。
つまりこの資料は第3四半期なので、第1~第3四半期を合計した
成績になります。
もし第3四半期だけの成績が知りたい場合は、面倒ではありますが、
第2四半期の資料と見比べて引き算をしなければいけません。