新たな発想生むためにも
「秘境駅」が注目されるなど、ローカル線を中心とした鉄道ブームには根強いものがある。とはいえ、会社勤めの身ではわざわざ地方に出かける機会は少ない。そんな中、出張先や帰途でのローカル線乗車を提案する。
新幹線と航空路線が全国に張り巡らされた近年、出張しても当日夜には東京のデスクに戻るよう求められることもままある。自由に使える数時間で、どんな旅ができるか。全国10都市への出張を想定した20コースを紹介している。
自身も講演で、東京から名古屋へ移動することがある。新幹線「のぞみ」なら片道2時間足らず。「それではもったいない」と、天竜浜名湖線経由の旅を試してみた。もともと軍事上の理由から東海道線のバイパスとして建設された路線で、全線が登録有形文化財となっている。いくつかの駅舎に飲食店が併設された“グルメ路線”でもあるのだとか。「こうした工夫をしていることは実際に行ってみないと分からない。地方のつましい努力を応援していきたいですね」と話す。
なぜローカル線の旅を勧めるのか。「都会の鉄道とは時間の流れが違う。忙しい人にとってはリフレッシュになるはずだし、散歩でアイデアが浮かぶのと同じで、新たな発想を得るためにも貴重な時間になるはず」と効用を語る。