システム上重要な金融機関の資本上乗せ規制

faichiさん
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 [カンヌ(フランス)/東京 4日 ロイター] 世界の主要国や地域の金融当局で構
成する金融安定理事会(FSB)は4日、世界の金融システム上で重要な金融機関(G─
SIFIs)への資本上乗せ規制の対象となる29の金融機関の暫定的なリストを発表し
た。日本からは、三菱UFJフィナンシャル・グループを筆頭に日本の3メガバ
ンクが対象となった。

 邦銀で該当したのは、三菱UFJFGのほか、みずほフィナンシャルグループ、
三井住友フィナンシャルグループ。大手証券の野村ホールディングス
は該当しなかった。

 FSBが発表した暫定リストは、09年末のデータを基にした。リストは毎年11月、
新しいデータに基づいて更新する。資本上乗せ規制の段階的な導入開始は2016年から
で、19年に完全施行される。段階導入開始時の規制対象になる金融機関については、
2013年のデータに基づき、2014年11月にリストを公表する。

 G─SIFIsに該当する金融機関は、バーゼル銀行監督委員会が昨秋策定した新銀行
規制「バーゼル3」で求められる自己資本比率に対し、保有するリスクに応じ、1.0─
2.5%の自己資本比率を上乗せして確保するよう求められる。上乗せ幅は、単純に金融
業務の規模だけでなく、リスクの高いトレーディング業務などのリスクも考慮して決まる。

 暫定リストでは、個別の資本上乗せ幅は公表しなかった。ただ、金融業務の比重が大き
い邦銀各行は、欧米の大手行に比べて上乗せ分は低位になったもよう。複数の関係筋によ
ると、邦銀各行の上乗せ幅は1.0―1.5%とみられる。邦銀の場合、自己資本比率で
1%の上乗せは、約1兆円の資本確保と等しい計算だが、各行とも増資に頼らず利益の積
み上げでクリアする構えだ。

 バーゼル3では、完全実施される2019年までに、普通株式を中心としたコアTie
r1(狭義の中核的自己資本)比率で4.5%と資本保全バッファー2.5%を足した
7%の確保が必要となっている。邦銀各行は、これにG─SIFIs規制による1.0─
1.5%を加えた8─8.5%の水準達成が最終的に求められる。

 各行は今後、毎期4000―5000億円の当期利益計上を見込んでおり、増資に頼ら
なくても規制はクリアできるとみている。株式市場でも「増資懸念はひとまず後退してい
る」(証券アナリスト)との見方が一般的だ。ただ、金融危機などがあれば利益の積み上
げが計画通りにいかない事態もありうるため「増資がないと言い切るのは早計」(金融筋)
との指摘もある。

◎国際金融システム上重要な金融機関(G SIFIs)29行
 
 以下は、FSBが公表した国際金融システム上重要な金融機関(G SIFIs)29
行のリスト。内訳は欧州が17行、米国が8行、日本が3行、中国が1行。指定される金
融機関は毎年11月に見直しが行われる。
 
 バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)
 中国銀行
 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
 バンク・ポピュラーレ
 バークレイズ
 BNPパリバ
 シティグループ
 コメルツ銀行
 クレディ・スイス
 ドイツ銀行
 デクシア
 ゴールドマン・サックス
 クレディ・アグリコル
 HSBC
 ING銀行
 JPモルガン・チェース
 ロイズ・バンキング・グループ
 三菱UFJフィナンシャル・グループ
 みずほフィナンシャルグループ
 モルガン・スタンレー
 ノルデア
 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)
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