花粉症といえば春のスギ花粉症を想像しがちだが、秋にも花粉症になることがあり、注意したい。春と異なり、秋の原因はキク科のブタクサやヨモギが中心。予防のためには、花粉になるべく接触しないよう気をつけることが大切だ。(森本昌彦)
近年はスギ花粉も
花粉の飛散状況を観察・測定し、ホームページで情報公開などをしている「花粉情報協会」(千葉県習志野市)の事務局長で、東邦大学理学部の佐橋紀男・訪問教授によると、秋の花粉症の原因となるのは、キク科のブタクサやヨモギのほか、牧草などのイネ科植物がある。
近年の特徴として、秋にスギ花粉が観測されることもある。秋でも気温が高い日があると、狂い咲きのような形で花を咲かせてしまうことが考えられるという。佐橋教授は「ここ何年か前からは、秋にもスギ花粉症についても注意するよう呼びかけている」と説明する。
ブタクサやヨモギは春の花粉症の原因となるスギ花粉やヒノキ花粉に比べ、飛散量は少なく、飛散範囲も狭い。このため、患者数は多くないとされている。今年の飛散状況も「例年とそれほど変わりはない」(佐橋教授)。とはいえ、ブタクサやヨモギはスギやヒノキに比べ、道端や荒れ地など身近な環境にある。過ごしやすい秋にスポーツや行楽を楽しむためには注意が必要だ。
風邪は黄色い鼻水
秋の花粉症の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど春と違いはない。飛散量が少ないため、重症化する人は春に比べて少ない。
季節の変わり目の時期の花粉症であるため、風邪と見分けがつかない人もいるだろう。日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授に風邪との違いを聞くと、「風邪では鼻水が黄色くなりますが、花粉症ではなりません」と話す。このほか、目の症状は花粉症では出るが風邪では出ず、逆に熱は花粉症では出ないなどの違いがあるという。
秋の花粉症から身を守るため、普段から気をつけたい点として、大久保教授は「基本的に秋は草の花粉症なので、遠くまで花粉は飛びません。草木の多いところを避けて生活することが必要で、通勤、通学路に自然が豊富な公園があったり、川沿いに住んでいたりする場合は注意してほしい」とアドバイスしている。
花粉情報協会のデータや佐橋教授の論文などをもとにしたホームページ「花粉症Learning」(http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/kafun/)では、家庭でできる花粉症対策として、花粉を家の中に入れないための工夫、外出時の注意などを紹介している。こうした方法を試し、花粉を防いで快適に秋を過ごしたい。
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