yuhsanさんのブログ
リーマンショックの回顧-2008年11月23日の日記
今回の下げをリーマンショックの再来と見る人もいます。日本でのリーマンショックの最安値は、2008年10月28日のザラ場7,000円割れでした。このときのショックを、10月31日と11月23日に記録してありましたので、23日分の日記(未発表)をご参考までに。
これで見る限り、今回の下げはまだ序の口といったところです。相場は一応底入れをした感がありますが、下げの原因となっているギリシャ問題が決着していないところから、一段の下げを予想する人も多いと思います。
今回の下げは、発生がアメリカとヨーロッパの違いはありますが、金融危機という点では共通しています。ただ、市場にはすでに潤沢な資金が供給されていて、リーマンのときの教訓が残っているなど、いくつかの違いも見られます。また、日本では日銀の買い支えが外国人売りを吸収していること、東日本大震災で暴落を経験し来年以降、復興需要が期待できることなどの違いが顕著です。
そんなことから、私は今回の下げ(ギリシャショック)は、底を打ったと見ていますが、日本の相場が前日のアメリカ市場を見ていれば分かるようでは確信が持てません。しばらくは、短期投資家のお手並みを拝見しています。
~~~~~~~~~~~~~~
08年11月23日分(ショックの安値からほぼ1ヶ月後)の日記
今年の株価は、年初に付けた15,156円が最高値で、10月28日には7,000円の大台まで割って、1982年に付けた6,849円を窺うところまで下落してしまいました。株価はこの日、ザラ場で安値の6,995円(年初の46%)を付けた後、急反発し11月5日には9,521円まで戻しますが、そこから再び下落に転じ11月21日には、再度8,000円を割り込んで7,406円を付けてしまいます。ここで反発とはなりましたが、10,000円の壁は厚そうです。
いったい、何が起こったのでしょうか。
世間では、今回の株の大暴落を100年に1回の経済危機とか、世界大恐慌の再来とか言っています。アメリカの投資銀行が、最先端の金融工学とコンピューターを使って精緻に作り上げ、それに高い格付けをつけ売り出した証券化商品に、高利回りを求めるヘッジファンドをはじめとする世界中の金融機関が群がった結果です。サブプライム問題でこれら金融商品の欠陥が暴露されると、リーマンブラザーズを始めとする投資銀行の破綻で世界的な金融恐慌に発展します。投機資金が一斉に引き上げられたため、すべての国でほぼ同時に株、債権、通貨、資源の暴落となってしまいました。
まさに、コンピューター時代のマネーゲームの終わりを見ることになりました。冷静に考えると、金は金利以上には増えることはありません。金が金を生むというのは幻想のはずですが、やはり大暴走しバブルが弾けてしまいました。
日本の市場は、輸入物価の高騰による商品市場の上昇はあったものも、総じてバブル化した状況になっていたわけではありません。にもかかわらず、取引の6割が外国人によって占められていたために、その資金が引き上げられることにより想像もできないような株安に見舞われました。実体経済でも、アメリカの消費減が輸出とドル安で支えられていた日本の大企業を直撃し、トヨタは2009年の3月期の営業利益が、前年度比で実に1兆円も減るとの見通しで市場に大きなショックを与えました。
そして、株式市場は、1982年のバブル前の値段に戻ってしまったのです。一相場5年といったのは過去の話しで、実に26年も前に逆戻りです。戦後東証が再開して以来今日までの月末株価の平均は、8,900円になるそうです。このまま8,000円前後で年越しすると、戦後に株を買った人の大部分が損を抱えて越年という事態になります。
今年ほど株に対する考え方を変えさせたことはありません。株の教科書は多くの点で書き換えられることになりそうです。
(1) チャートもファンダも役に立たない。株価を決めたのは結局需給だけ。
個々の銘柄を選定する場合、ファンダメンタルを重視するか、あるいはチャートで決めるかいろいろ分かれるところですが、今回の下落では会社の業績、PER、PBR、配当利回りといった尺度がまったく通用しなくなりました。
過去の株価の動きから未来を予測するチャートや指標もすべて役に立ちません。株価の下落とともにチャートの節目は長くなり、週足、年足、ついには大恐慌の1932年まで遡って節目を探すようになってしまいました。株価を決めたのは、ヘッジファンドの大量の売りであり、それを止めたのは国内の年金基金と個人、それに企業の自社株買いだったわけです。
株価が12,000円のころ、10,000円になるといっていた友達に、株のことを知らないと笑ったことがありました。その根拠は、10,000円のときのPERとPBRを計算すると、そこまで下がることはありえないと考えたからです。
ところが、株価はそんな指標を無視して大幅に下落。PERはその後の企業業績の大幅な落ち込みで、指標そのものの位置がずれてしまい役に立ちません。絶対的な指標としてのPBRは、1.0を簡単に割り込んでしまい、歯止めの役に立ちませんでした。信用残、先物の残高あるいはオプション取引に絡んだ残高、株価の乖離率(総合乖離率マイナス100%以上)、騰落レシオ(50%に接近)等も、ほとんど無視されました。
(2) 地域、商品を分散して投資しても、すべてに損が発生してしまった。
従来からリスク分散法として言われていた分散投資法、つまり資金を株式、債権、商品へと分散し、さらに国、地域を時間差で投資する方法は、今回はリスク分散のための機能をまったく果たさなくなりました。世界中の株式と通貨、それに石油を初めとする商品まで、すべての金融商品がほとんど同時に同じような割合で暴落してしまったのですからどうしようもありません。
(3) 株の季節性、周期性、アノマリーといったものはほとんど当たらない。
従来株は冬に買って春に売るとか、2、5、8、11月の決算発表時には株が下がるとか、SQ前にはオプション価格調整のため株価の調整が起こるとか、株の季節や習慣性がそれなりにありましたが、今回はまったく無視されてしまいました。
(4) 長期投資も報われない。
今回の暴落ではこの神話ですら崩れてしまいました。何しろ、株価の位置が4半世紀も前に戻ってしまったのですから。
―後略―
こんばんは。
今回の世界株安もあながちどうなるのか、楽観はできませんね^^
特に(1)は、その通りの傾向ですね。
EUの全体を見て、ユーロの制度疲労や、不都合が際立ってきていますね。
同時に米の不況。
このところ過去4年の週足のチャートをのんびり眺めることが多いです。
まだ当時のような感じは受けませんけど、
小石の転がりがあっという間に、大きな土砂崩れに発展しないかを、
気をつけています。それが分かれば、楽なことはないんですけど・・・。
球さん、島次郎さん、ご意見ありがとうございました。
私も基本は、長期投資ですが、90年バブルの崩壊以来、資産の減少が続いています。
それでも、株をやめるつもりはありません。いい株を持っていればいつかはよくなるという楽天的な性格のよるものだと思います。
東電はいい株だったのですが、残念だったですね。
私は持っていませんでしたが、運がよかったとしか言いようがありません。
投資には運とツキも必要なんですね。