価格競争による採算悪化など、テレビの業況が厳しさを増す中、大手家電各社は相次いで、ネットワーク機能の強化やサービスの拡充に乗り出した。パナソニックは欧米で展開していたテレビ向けネット配信サービスを国内でも開始、またシャープがスマートフォン（高機能携帯電話、スマホ）との連動性を高めたテレビを発売するなど、新たな付加価値の向上で、巻き返しを図る。
パナソニックが１０月４日から開始する「ビエラ・コネクト」は、簡単なリモコン操作で、番組視聴からネットショッピングまで楽しめる新サービスだ。専用サイト「ビエラ・コネクト マーケット」を通し、米メジャーリーグの生中継や、映画などの有料配信も利用できる。
サービスの一部は有料だが、電子チラシやゲームなども利用でき、年度内には３６種類以上のソフトをそろえる予定。テレビがスマホのようにカスタマイズができるのが特徴だ。
パナソニック商品グループの吉清和芳グループマネージャーは「購入後も進化するテレビが求められる」とアピールした。
同様にソニーも昨年から米国で、米グーグルの基本ソフト（ＯＳ）「アンドロイド」対応のインターネットテレビを発売し、サービスを提供している。だが、日本での発売は未定だ。
一方、シャープは今夏に、同社製のスマホ「アクオスフォン」との連携を高めた液晶テレビ「アクオスＬ」シリーズを発売。スマホで撮影した写真や動画をテレビで簡単に楽しめる機能などを盛り込んだ。同社幹部は「新しいテレビの価値をどう訴求するかが大切」という。
こうした取り組みの背景には、テレビ本体価格の激しい下落による採算の悪化がある。ソニーやパナソニックではテレビ事業の赤字が続き、日立はテレビ生産で撤退する方針を固めた。シャープも中小型テレビ用の液晶パネルを台湾メーカーから調達するなど収益改善に取り組んでいるが、韓国勢の勢いは強く、中国勢の台頭も懸念されるなど、厳しい状況は続いている。
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