金属製の行燈が人気 奈良・カキモト

AAI Fundさん
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金属加工メーカー「カキモト」(奈良県三郷町)製作の行燈(あんどん)が、注目を集めている。絵柄が切り絵のように室内に浮かぶのが魅力で、30~40歳代の女性がリビング用に購入するケースが多いという。リーマン・ショックで生産停止に追い込まれながらも従業員を解雇せず、社員全員が協力しながら開発した新製品で、経営難に悩む中小企業の新たな生き残り策としても注目される。

 行燈の商品名は「華やかに倭の里から生まれた行燈」という意味を込めて「華倭里(かわり)」。

 図柄をデータ化してレーザーでステンレス製の板金(縦10~29・5センチ、横19~40センチ、厚さ1~1・5ミリ)を100分の5ミリの精度で切り出し、板金を二つ折りにして、もう一つの二つ折りの板金と溶接して行燈の側面を作る。行燈の中に電球をともすと、内側の和紙を通して図柄が浮かぶ。

 図柄は正倉院宝物、薬師寺、小倉百人一首など約100種類。価格は2万円前後から。最近では、結婚式のプレゼント用として名前入りなどオリジナルの注文も増えているという。

 同社は産業機械の部品などを手がける明治40年創業の老舗メーカー。平成20年9月のリーマン・ショックで受注が激減し、「その年の12月から注文がなく、1週間ほど全く仕事のない状態になった」(金属工芸部の垣本雅之さん)こともある。

 雇用調整助成金をもらって従業員を一時休業させる選択肢もあったが、次の不況期にも耐えられるようにと、従業員の技術の習得に注力。金属工芸部の垣本麻希リーダーを中心に20人がアイデアを出し合って行燈の開発にこぎ着けた。

 垣本昌孝社長(64)は「本業と関係のないものを作るのはおもしろいと思った。手作りで大量生産はできないので、(発売を)ゆったり待ってほしい」と話していた。
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