パレスチナ国連加盟申請 安保理協議、否決か棚上げか

AAI Fundさん
AAI Fundさん



国連へのパレスチナ加盟の是非を協議する安全保障理事会の会合が26日に開かれる。21日に始まった国連総会の一般討論演説がまだ続くなどの諸事情もあり、安保理が加盟を国連総会に「勧告」する採決を数日以内に行う可能性は低い。AP通信によれば、採決には少なくとも、数週間はかかる見通しだ。

 パレスチナ加盟を承認するには、安保理15カ国のうち9カ国以上が賛成し、5常任理事国が拒否権を行使しないことが前提となる。この後、国連総会(193カ国)に勧告され、3分の2以上の賛成で加盟が承認される。

 安保理協議で一番考えられるシナリオは、イスラエルを擁護する米国が直ちに拒否権を行使するケース。

 賛成国が8カ国以内にとどまった場合も否決となる。米国としては、アラブ諸国の反発を招きかねない拒否権行使を極力避けたいのが本音であり、「9カ国の賛成があるのに、米国1国の拒否権で加盟がつぶれた」という状況は作りたくない。危機感を持つ米国はこのため、イスラエルとともに多数派工作に躍起だ。

 オバマ大統領は、ドイツのメルケル首相らに電話をかけ、この問題について協議したほか、イスラエルのネタニヤフ首相も、今回の国連総会の諸会合の際に、各国首脳らに反対や棄権を呼び掛けたという。

英メディアによれば、パレスチナ加盟に賛成しているのは、中国やロシア、レバノン、南アフリカ。インドやブラジルも賛成する可能性が高いという。

 欧州連合(EU)の一員として、パレスチナ側を支援してきた英国やフランス、ドイツ、ポルトガルの欧州4カ国は、アラブ諸国からの反発を恐れ、棄権に回る可能性が高い。焦点は、ガボン、ナイジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コロンビアの動向だ。

 パレスチナ加盟に対して拒否権が行使されるか、9カ国の票を得られずに否決されるという場合、パレスチナ側は現在の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」への地位の格上げを目指すことになる。安保理を経由せずに、国連総会で過半数(97カ国)の賛成で承認されるため、実現性は高い。

 もっとも、米国とロシア、国連、EUが23日に提案した和平合意案を双方が受け入れれば、加盟や地位格上げといった問題はしばらく棚上げされることになる。
AAI Fundさんのブログ一覧