TOPIXの終値は前日比12.59ポイント(1.7%)安の744.54、日経平均株価は同180円90銭(2.1%)安の8560円26銭。
ちばぎんアセットマネジメントの桶矢雅嗣運用部長は、「世界的な景気減速を警戒した投資家がリスク回避姿勢を強めた」と指摘。9月期末を控え、機関投資家が高リスク資産の株式の保有を圧縮させており、「需給面でのマイナスの影響」もあると言う。
米連邦準備制度理事会(FRB)は20、21両日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、期間が短めの保有国債を長めの国債に乗り換える方針を明らかにした。借り入れコストの一段の引き下げと景気後退の回避に向けた取り組みの一環。また、保有する政府機関債と政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)の償還元本を米国債ではなく、MBSに再投資する方針も示し、景気見通しに関しては「著しい下振れリスクが存在し、これには世界の金融市場における緊張が含まれる」と指摘した。
大和証券投資情報部の西村由美次長によると、FOMC声明は「予想されていたもので、サプライズがない」ため、東京市場では朝方から「ひとまず株売りの反応」になったという。いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、直近の株式市場では「量的緩和第3弾(QE3)が出た場合の相場変動リスクを考慮したショートカバー(売り方の買い戻し)も入っていた」と分析。ただ、FRBの決定が保有する米国債の年限を長期化するオペレーション・ツイストの導入にとどまり、「再度売り直す動きが出やすい」としていた。
アジア安受け午後下げ広げる、ユーロ警戒も
この日の日本株は午後に一段安となり、日経平均は一時195円安の8545円まで下げ幅を広げた。東京市場の昼休み時間帯に中国で発表された9月のHSBC製造業購買担当者指数(PMI)が前月からやや悪化し、中国経済の減速が懸念された格好。中国の上海総合株価指数や香港ハンセン指数が下落するなど、この日のアジア株相場が全面安の展開となり、市場参加者の心理面にマイナスに作用した。
欧米経済や財政、金融システムを取り巻く環境が依然不透明で、「あすからの3連休を控え、休場中に欧米発の悪いニュースが伝わるリスクに敏感になっており、押し目買いも弱い」と、大和証の西村氏は話した。
根強い欧州債務問題への懸念を背景に、東京時間22日早朝の外国為替市場では一時1ユーロ=103円67銭と、円はユーロに対し2001年以来の高値を付けた。為替採算悪化への警戒感が高まり、東証1部の売買代金上位ではトヨタ自動車やホンダ、キヤノン、ソニー、コマツ、ファナックなど時価総額上位の輸出関連株が総じて下落。ニューヨーク原油先物相場がアジア時間22日の時間外取引で続落する動きを見せ、国際石油開発帝石や三井物産など資源関連株も下げた。
金融も弱い、大手証券52週安値
証券や保険、銀行など金融株も安い。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがバンク・オブ・アメリカ(BOA)とシティグループ、ウェルズ・ファーゴの信用格付けを引き下げたことが嫌気され、21日の米株市場ではS&P500金融株指数が4.9%安と急落し、この流れを引き継いだ。
証券については、東証1部の売買代金が前日まで2日連続で1兆円を割り込むなど、低調な売買水準が続く中、収益環境の厳しさが懸念され、野村ホールディングスや大和証券グループ本社がともに52週安値を更新。銀行に関しては、BNPパリバ証券が銀行セクターの調査を開始し、22 日付で投資判断を新規「悪化(ネガティブ)」に設定する材料もあった。
ソフバンク急落が「買い手不在」に拍車
個別では、ソフバンクが12%超下げ、52週安値を付けた。米アップルが今秋に発売する「iPhone5」をKDDIが日本で販売することが分かった、と日経ビジネス電子版が22日に報道。初代から3年間続いたソフバンクの独占販売体制が崩れると伝わったことを受けた。ソフバンク株は「個人投資家の保有が多い銘柄で、通常なら相場の下落局面で買いに動く個人の動きを鈍くさせている。『買い手不在』に拍車を掛けたのはソフトバンク株の急落だ」と、ちばぎんアセットの桶矢氏は見ていた。
東証1部の売買高は概算で17億407万株、売買代金は1兆2098億円。値下がり銘柄数が1175、値上がりは392。業種別33指数は鉱業、証券・商品先物取引、情報・通信、不動産、鉄鋼、海運など25業種が下げ、水産・農林、パルプ・紙、陸運、電気・ガスなど8業種が高い。
国内新興市場は、ジャスダック指数が前日比1.6%安の48.47と反落、東証マザーズ数は同3.8%安の3920.09と3日続落した