意外性ある大人の教科書
来春から使用される中学校歴史教科書で、全国での採択率が４％近くに達した育鵬社版。その監修にあたった歴史評論の第一人者、渡部昇一・上智大名誉教授が初めて１冊で著した日本の通史だ。７月上旬の発売で、月内にさっそく増刷されるなど、好調な売れ行きをみせている。
監修の際、渡部氏は太平洋戦争についてマッカーサーが戦後、米上院という公の場で「彼ら（日本人）が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障（自衛）の必要に迫られてのことだったのです」と証言した史実を、教科書に盛り込んでほしいと要請した。しかし検定で意見が付き、掲載を断念。渡部氏はこの文言が育鵬社版に載ると「他社の歴史の教科書がすべてボロクズになることを、文科省の教科書調査官は心配してあげたのであろう」と痛烈に皮肉っている。
