jojuさんのブログ

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先進国の過小インフレターゲットが株価変動を高める

 先進国、新興国(特に中国)との間で、金融緩和のシーソーが起きている。

 

 先進国が金融緩和拡大ならば、中国等新興国経済はバブリー化し、金融引き締めに進む(この場合、先進国景気は回復、新興国景気はやや停滞で、資源価格は高止まりとなる)。

 先進国が金融緩和抑制ならば、中国等新興国は金融緩和に進む(この場合、先進国景気は停滞気味、新興国景気は活況で、資源価格はやはり高止まり)。

 両者がシーソーのように繰り返している。 今は後者の局面にある。

 

 しかし、どちらに転んでも、先進国が金融緩和、景気刺激を止めない以上、世界経済は緩慢な回復を辿り、資源価格は高止まりするでしょう。

 

 ただ、前者の場合、中国は過剰通貨安固定政策を放棄せざるを得なくなるので、世界の為替市場に掛かる巨大な歪みが無くなる。 これは、世界経済の持続的高成長にはつながる。

 一方、後者の場合、中国の過剰通貨安固定政策が続き、中国の一人勝ちが持続し、軍備拡大が進む。

 

 世界経済、先進各国にとって望ましいのは明らかに前者です。

 先進国では、前者ならば、物価上昇率が高くても景気回復速度も上がるので問題は小さい。 一方、後者では、物価上昇率は前者ほどでなくても、資源価格高止まりのうえ、景気回復は失速に怯えるほどの緩慢さになってしまう。 だから、資源価格高止まりを理由に、金融緩和反対を叫ぶ先進国マスゴミはおバカなのです。

 

 けれども、先進各国の金融政策がシーソーのように惑うのは、マスゴミのせいではないでしょう。 経済ド素人のマスゴミ意見を鵜呑みにするほど、先進国の中銀幹部は愚かでないから(日本の政治家、特に民主党の政治家には愚か者が多数いますが、、)。

 一番大きな原因は、先進各国の中銀幹部が、グローバル化による状況変化に未だ慣れていないこと、、、これに尽きると思うのです(ゆえに根が深い)。

 

 先進国中銀は、安定成長率での物価上昇率(=インフレターゲット)が、グローバル化によって一段階上がったことに未だ慣れていない、、、正確に言えば、日銀幹部はそれを全く理解出来ておらず(デフレターゲット政策推進中(ーー;)、欧州中銀ECBはそれを十分理解しておらず(今現在、インフレ・デフレリスクが均衡してると、のたまってます(^^;)、米国FRBは未だ慣れていない(それでも緩和続行姿勢強し)。

 

 グローバル化で新興国経済が拡大し、新興国の高成長=高物価上昇率に、先進国が引きずられる度合いが増しているのに、それが未だ十分理解されておらず(FRBコンセンサスは理解しつつチューニングしている最中か?)、一昔前の(今となっては)低いインフレターゲットをターゲットにしている、、、それが金融政策の迷走を生んでいる。

 

 証券化商品などのエキゾチック市場が、巨大緩和資金を吸収してくれたリーマンショック前(2000~2008)ならば、それでも問題なかった。 バブルはエキゾチック市場が吸収してくれ、安定成長であれ、バブリー成長であれ、物価上昇率は低位安定だったから。

 中国経済が巨大化し、その過剰通貨安固定政策が巨大な金余りを生む以前の時代(2000以前)も当然、問題なかった。 安定成長を約束する物価上昇率は低めだったから。

 

 しかし、今の時代は違うのです。 中国経済は巨大化したのに過剰通貨安固定政策に固執し、エキゾチック市場はリーマンショックで焦土化し縮小している。 世界的金融緩和合戦が、よりダイレクトに先進国物価上昇率に響くようになっている。 と、同時に、新興国経済が巨大化したうえ、グローバル化が進んで、新興国の高成長が先進国に波及しやすくなっている。 つまり、成長率と物価上昇率のリンクが復活したうえ、高物価・高成長で安定する新興国の影響を受けやすくなっているのです(ブラジルのように固定相場を取ってない新興国ばかりになるとそうなる。中国の過剰通貨安固定度合いが先進国金融緩和で弱まるとそうなる)。

 

 こういう状況では、従来レベルのインフレターゲットではブレーキ気味になってしまう(デフレターゲットをやっている日銀は、大ブレーキを日本経済にかけまくってるわけです。適切なインフレターゲットにしなければ、新興国の高成長を国内に取り込めない)。

 

 資源価格と株価のシーソー、金融緩和のブレーキ・アクセルと株価のシーソーの複合シーソーが、この景気回復局面を特徴付けることになりそうです。 緩慢な回復と大きなボラテリテイ。

 

 そして、グローバル化進行の状況では、先進国の成長率と先進国企業の成長率にはギャップ(企業成長>>国家成長)が生じます。 先進国であればあるほど、先進企業であればあるほど、そうなる。 株式市場がこのギャップに十分気が付いていないことも今般景気回復過程のボラテリテイ拡大要因です。

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