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R&I、日本国債格下げの可能性50%以上-年内にも

【シンガポール】日本の2大格付け会社の1つ、格付投資情報センター(R&I)のアナリストは、来年度の予算に想定以上の緊縮財政措置が盛り込まれない限り、日本国債の格付けを引き下げる可能性が高いと警告した。同社は日本国債を現在、最上級に格付けしている。




財務省(東京)


 米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債を初めて最上級から引き下げてから13年近くが経つが、日本の格付け会社が格下げを決定すれば、国内投資家が動揺する可能性がある。日本国債の約95%は国内投資家が保有している。もう1つの国内格付け会社である日本格付研究所(JCR)も依然として日本国債の格付けトリプルAを維持している。

 R&Iは2001年3月から日本国債格付けの見通しをネガティブとしているが、同社日本国債担当のアナリスト、関口健爾氏はこのほど、格下げの確率は50%以上と述べた。

 同氏によると、9月末に各省庁が概算要求をまとめ来年度予算の概要が明らかになり次第、R&Iが格下げを決定する可能性がある。格下げの前には警告を出すが、警告期間は1週間と短期間の場合もあると述べた。

 同氏は、トリプルAの格付けを維持するための道は極めて狭いと述べた。菅直人首相の後継者は、まだ決まっていないが、与野党の強硬な反対によって、望ましい施策が予算に盛り込まれる可能性は低いと思うと述べた。

 日本の公債残高は年間の国内総生産(GDP)の2倍に上り、世界の先進国の中で最も多いものの、これまでR&Iは、日本の政治的・社会的安定と経済の基礎的諸条件、資金調達の容易さ、政策運営力などによって支えられるとの見解を示してきた。しかし、R&Iの谷口仁敏氏は、首相交代のたびに日本の政策運営力が弱体化していると指摘した。さらに、R&Iは、9月の来年度の歳出見通しの取りまとめをまって、それに基づいてトリプルA格付けを維持できるか、格下げするかを決定するとした。

 R&Iは今年初め、日本国債格付けに下押し圧力が強まっているとしていたが、3月に発生した東日本大震災後、国会が日本の財政問題に取り組むために団結するのではないかとの期待から、「疑わしきは罰せず」の原則を適用してきた。しかしその後の展開に非常に失望したと関口氏は述べている。

 同氏は、この数カ月にみられた動きといえば政治の駆け引きしかなかったと指摘し、本当に必要なのは債務問題に取り組もうとする政治家の「意思」であるとした。さらに、現在、財政運営と経済は厳しさを増していると述べた。最近深刻化した経済に対するネガティブな要因として円高とエネルギー不足を挙げた。

 関口氏は、日本には膨大なリスクが累積しており、71兆円(9258億ドル)の歳出上限と44兆円の国債新規発行上限を守るだけでは十分ではないとしたうえで、同社を驚かすような、強いコミットメントを示す何らかの措置、もっと大きなサプライズが必要だと述べた。

記者: Natasha Brereton-Fukui

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