投資家バフェット氏、インサイダー取引疑惑で株主に謝罪
2011年 05月 2日 09:08
[オマハ(米ネブラスカ州) 30日 ロイター] 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは30日、株主総会を開いた。
バフェット氏は、同社が買収したルーブリゾール(LZ.N: 株価, 企業情報, レポート)の株式を元幹部のデービッド・ソコル氏が保有していた問題について、ソコル氏からルーブリゾール買収を薦められた際、厳しく問いただすべきだったと発言。
ソコル氏がインサイダー取引に関する社内規定に違反したとの認識を示した。
ソコル氏は、バフェット氏の有力後継候補とみられていたが、バークシャーが買収を発表したルーブリゾールの株式を事前に保有していたことが明らかになり、3月に辞任した。
ソコル氏は、保有株式で300万ドルの利益を得たとされており、関係筋によると、証券取引委員会(SEC)が調査を進めている。
株主総会では、バフェット氏とチャーリー・マンガー副会長が5時間にわたって株主の質問に応じた。
バフェット氏は「私は大きな間違いを犯した。(ルーブリゾール株を)いつ買ったのかと問いただすべきだった」と発言。「(ソコル氏の行動は)不可解で許されるものではない」と述べた。
バフェット氏は、その後のロイター・インサイダーとのインタビューで、ソコル氏の辞任を発表した3月30日の声明の内容は「不適切」だったとの認識も示した。
<後任人事>
ソコル氏の辞任で、バフェット氏の後任人事に注目が集まっている。
バークシャーは、バフェット氏の退任後、最高経営責任者(CEO)と最高投資責任者(CIO)を分離する見通し。
バフェット氏は後任のCIO候補として、ヘッジファンド出身のトッド・コームズ氏を採用している。
バークシャーは、ソコル氏の辞任に先立ち、社内に4人のCEO候補がいるとしていたが、バフェット氏はこの日の株主総会で、再保険部門責任者のアジット・ジェイン氏を高く評価。
「アジット・ジェインが下した決断で、私のほうが優れた決断を下せたと思えるケースは考えつかない」と述べた。
出席者の間では、バフェット氏が後任候補を示唆したのではないかとの見方が浮上、会場から大きな拍手が起こった。
バフェット氏は総会の冒頭、バークシャーの第1・四半期決算が、東日本大震災やニュージーランドの地震などの災害に伴い、約58%の減益になるとの見込みを示した。
純利益は15億1000万ドルとなる見込み。前年同期の実績は36億3000万ドルだった。
営業利益は28%減の15億9000万ドルとなる見込み。前年同期は22億2000万ドル。住宅関連を除く約80の事業の「ほぼ大半」で業績が改善したという。
東日本大震災に伴う損失は10億7000万ドル。ニュージーランドの地震に伴う損失は4億1200万ドル。
保険引き受け事業の2011年通期決算は、9年ぶりに赤字になる可能性が高いという。