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借り物
UPDATE:今度はイタリア懸念が欧州を揺るがす―政治経済に課題山積
- 2011年 7月 12日 11:50 JST
ユーロ圏の債務問題では脇役だったイタリアが11日、主役に押し出された。同国国債は売られ、欧州の指導者らは欧州大陸第3の経済規模を持つ同国に危機が及ばぬよう防戦に努めた。
トリシェECB総裁(11日、ブリュッセル)
イタリアの財政問題と政治不安は、欧州の指導者らがギリシャの債務問題への解決策で一致できないことも加わって、イタリアの10年物国債とドイツ国債の利回り格差を1週間で一気に1%ポイント以上拡大させ、過去最高の2.856%ポイントに広げた。
これを受け、ベルルスコーニ伊首相は2週間前に発表した包括的財政緊縮案を早期に国会で成立させると強調した。電子メールでサコーニ労働社会政策相に問い合わせたところ、同相は、政府与党が議会の過半数を握っているため法案は2、3日中に成立するとの見通しを示した。
しかし、財政緊縮法案が可決されたとしても、それだけでは市場の懸念を払拭できないかもしれない。
ジェフリーズ・インターナショナル(ロンドン)のエコノミスト、マーチェル・アレクサンドロビッチ氏は「ギリシャやアイルランドやポルトガルの例をみれば、市場の信認はすぐに崩れてしまうものだということが分かる。イタリアのファンダメンタルズは、たとえばスペインよりは強いが、市場の信認を失ったらそれは関係なくなる」と話す。
イタリアには長期間続いている大きな問題がある。GDPの120%に及ぶ債務と、弱い成長力、不安定な政治だ。欧州の債務危機にイタリアはこの2年間ほぼ影響されてこなかったが、これらの問題が今になって前面に出てきている。
イタリアにとって危険なのは、債券市場が同国に完全に背中を向け、金利が高くても必要な額を融資しない場合だ。仮にイタリアが資本市場にアクセスできなくなれば、他のユーロ諸国は同国の流動性を維持するための資金を集めるのに苦労するだろうと、エコノミストらは言う。すると、イタリアを支えられるのは欧州中央銀行(ECB)だけとなるが、紙幣を増刷するという手法は同行が嫌っている。
ギリシャ債務支援問題では11日、格付け会社が「デフォルト(債務不履行)」と認定する方針を表明しているにもかかわらず、新規支援の枠組みに民間金融機関を取り込むことをユーロ圏諸国が模索していることが明らかになった。
「探し求めているのは、格付けではなく(問題の)解決策だ。格付け会社の悪い反応を呼んだとしても(良い解決策なら)問題はない」とユーロ圏財務相会合を前にベルギーのレインデルス財務相はこう述べた。
また、別のユーロ圏政府高官は、ドイツなどがギリシャ国債を保有する民間銀行を新規支援計画に組み入れた場合はギリシャの「デフォルト」認定は避けられないと、ユーロ圏加盟国の一部の財務相がみていることを明かした。
「格付け会社は納得していないが、民間の国債保有者を参加させるアイデアは交渉議題として依然残っている。それはつまりギリシャを選択的に(一部の債務について)デフォルトさせるという選択肢も話合われるということだ」と、財務相会合にも参加するこの高官は述べた。
またオランダのデヤーヘル財務相も、ギリシャが一時「選択的デフォルト」と認定される結果を招いたとしても、民間銀行団の参加はオランダが新規支援を考える前提条件だと語った。
これまでユーロ圏関係者はギリシャが一部債務について不履行を選択することは、同じく債務問題を抱えるポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリアなどの国債についても投資家が売り浴びせる引き金を引く恐れがあるとして、検討の対象外としていた。投資家は最近特にイタリアの債務管理に懸念を強めており、11日には同国債の価格は急落した。
一連の発言はユーロ圏政府がこの問題について新たなアプローチ、つまり格付け会社を無視するという戦略を検討し始めたことを示している。
とはいえ、ECBやEUの執行機関である欧州委員会には債務問題が域内各国への飛び火するリスクを恐れ慎重意見がまだ根強い。ECBはもしデフォルト認定された場合はギリシャ国債を融資の担保として受け入れることを止めるとしており、そうなった場合はギリシャの民間銀行が重要な資金調達手段を失うことになる。