大引け前ホットライン 【下値懸念】
恒例の「月末高」には反動も
東海東京調査センター 投資調査部長 隅谷俊夫氏
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前週半ばからの上昇相場には違和感を禁じえない。このところ毎月、月末高パターンが続いており、同様の流れといえるかも知れない。株主総会時期での上げ賛成ムードも背景に挙げられよう。
とはいえ、米国、そして日本にも、上値を追って買われるような材料は見当たらない。最近の商いの薄さにも現れている通りだ。「ギリシャ情勢の不安緩和」といっても、取ってつけたような感は否めない。米国経済指標はむしろ、悪化傾向を示している。
不自然に形成された相場は、長続きしないものだ。先物の買い戻しといった需給面の追い風が途絶えれば、ファンダメンタルズ面に目が向かう。根拠なき楽観ムードの中で迎える、7月1日の「6月の米国ISM(供給管理協会)製造業景気指数」発表あたりが怖い。
ビンラディン容疑者殺害報道のあった、大型連休中の5月2日を除くと、これまでの日経平均は、9800円台での上値の重さが目立つ。3月の月中終値平均(9852円)を超えると、機関投資家の売りが拡大すると見られるためだ。今回も、ここを越えるのは容易ではない。
そもそも、昨秋来のグローバルな株価上昇要因となっていた米国QE2(量的緩和第2弾)の6月末終了には、もっと敬意を表していいと考えている。17日の安値9318円は、商いの水準などから見ても、必ずしも底値とは言えず、ここを割って9000円どころを試しにいく場面があるのではないか。調整一巡から上放れに向かうには、まだ“宿題”を残している。(A)