株をやっている人には、短期と長期があります。短期に株を売買している方の80%は、1年後には市場から姿を消します。ヘッジファンドとの競争に負けてしまうからです。
以上が前回の日記(2011年6月5日)の要旨です。もう少し付け加えると・・・
「ヘッジファンドの動きに乗れば、短期売買でも利益が出るではないか!」短期売買している方からの反論です。アルゴリズム・・・彼らが使っているコンピューター売買法です。それには、株価の動きをあらゆる面から分析し、最適な方法を組み込んだ高速処理の投資ロボットです。あとは、儲かっているかどうかを検証して、より儲かるようにシステムを改良するだけです。
彼らは、どうすれば自分たちの利益が最大になるか、それだけを考えています。最初は呼び込み、後は振るい落としなど、あらゆる手段で利益を独占しようとします。短期投資の世界では、共栄共存なぞありえません。誰かが勝てば誰かが負けるのです。ヘッジファンドの「利益」は、それ以外の人の「損失」から生まれるのです。
最近の日本株価が3ヶ月もの長期持合を続けている背景は、アルゴリズム競争にあるともいえますし、金融規制により大きく相場を張ることもできなくなっている結果とも取れます。さらに、ファンドマネジャーは、6ヶ月、長くとも1年後には結果を出し、それによって評価されることです。ヘッジファンドには、長期投資という考え方が弱いのです。これこそがヘッジファンドの最大の欠点です。
それが長期投資では50%以上になるのです。猫でも買えば儲かることだってあります。株のギャンブル性を薄める唯一の方法です。
長期になれば、流れを掴みそれに乗る余裕が生まれます。時間を長くすることによって、配当金、株式分割、自社株消却、M&Aといった企業側が負担する株式価値の増加が買い手に上乗せされることになります。経済学でも、国民総生産が増加すると株式の価値が増えることを証明しています。貨幣価値が低下する状況では、企業の持つ資産価値が相対的に向上します・・・。
勝つ確率が50%以上になれば、もはや単なるギャンブルではありません。努力し決断しそして幸運に恵まれれば、あなたが億万長者なれる可能性は、短期投資よりはるかに高くなります。
短期投資の延長で長期投資を考えてはいけません。短期で買った銘柄が塩漬けになって、長期に持つのは長期投資ではありません。長期投資には相場を読むことが絶対的に必要になります。相場観に照らして、現在の株価の位置がどこにあるのか把握したうえで売り買いをします。銘柄選別やポートフォリオの組み方などにも、長期投資を前提に投資の目標に合った手段を選択します。
株式投資の目標としては「配当金で生活する」ことです。そのためには、5,000万円以上の株資産を持ち、年間配当が百万円以上あることが最低の条件になります。これだけでは、家族を養って行くには足りないかも知れませんが、ほかの収入と合わせれば、株で生活しているとはいえそうです。
それには時間が必要です。私は株で生活するには少なくとも20年、場合によっては一生をかける仕事だと思っています。もし一生をかけるとすると、つぎのようなステップになります。
第1期(40歳までに1,000万円を貯める)
株式投資は早く始めるほど時間のメリットがえられます。いろいろなリスクをとり、自分なりの投資方法を見つけることです。少しずつ貯金して1,000万円を作ってもかまいませんが、遺産とか宝くじの当選で1,000万円ができれば、こんなにありがたいことはありません。
この1,000万円はリスクマネーとして、ほかの資産とは厳格に区別しておきます。
第2期(60歳までに5,000万円に増やす)
60歳までに5,000万円の目標を達成して、億万長者への道を付けます。20年間で5倍、この時期が一番大変です。20年間に4~5回ある大きな流れを読み、これに乗らないと無理です。信用取引を使って大きく儲け、利益は再投資して配当金で生活できるポートフォリオを目指します。
問題はこの間にある下げ相場のときです。理論的には持ち株を売り繋なげばいいのでしょうが、下げ相場が分かるのは相場の終わり近くです。そんなときに売り繋ないでも、ヘッジになりません。私は次の相場を睨んで銘柄を入れ替え、ひたすら待ちます。銘柄選定さえ間違わなければ相場は必ず反転します。
億万長者への道は第2期で決まります。人生でもっとも脂の乗り切った時期で、収入もリスク許容度もこの期間が最も高くなります。定年が間近になってからではリスクは取れません。私の投資法も、この時期にもっとも効果のある方法になっています。
不幸にもリスクマネーが0になったら、運命と思って諦めることです。ギャンブルで人生を棒に振ることはありません。
第3期(配当金で生活を楽しむ)
配当金で生活を楽しむことのできるポートフォリオを構築して、株を保有しながら値上がりを期待します。退職金としてまとまったお金が入りますが、これはリスクマネーには加えず、生活資金の補填として別途貯えておきましょう。
信用取引は抑え、テーマ株を中心に、銘柄入れ替えだけで高配当の維持に努めます。リスクを最小限にして、相場の波に乗れば、10年間に2倍1億円の目標達成は容易です。ただ、仮に達成したとしてもあの世に持ってゆけないのが残念です。
ここまでで、株投資に対するイメージが掴めたことと思います。要約すると、いい株を相場の流れに乗って長期に持ち、株数を増やし配当で生活するということになります。
相場の読み方、証券会社の選び方、銘柄に選択と投資のタイミング、注文の方法、株数の増やし方、実際の投資行動指針、信用取引の利用方法、株と税金、持ち株の手入れ、運とツキの呼び込み方、記録の付け方と保管・・・といった投資に当たっての手法も自分なりに持ち、一旦身につけた投資方法は簡単に変えないことも大切です。
以上が私の投資方法の概略です。内容は、私の「株で生活するには・・・娘たちに残す投資法」と題する出版予定の本から来ています。この本は、私の40年来の知見を生かして、これから株式投資を始めようとする40歳代の女性を対象に書きあげたのですが、残念ながら今のところ原稿のままです。
株式投資は、方法さえ間違えなければ、ほかの投資対象に比べ有利です。皆様方のご成功を心からお祈りいたします。