法人が支払う給与は、支払先として使用人と役員に大別でき、これらは法人税法において取扱いが区別されています。使用人に対する給与は、雇用契約に基づき労務の対価として支払うものであるため、企業会計上費用となり、法人税法上も原則としてその全額が損金の額に算入されます。他方、役員に対する給与については、役員が法人の経営に従事して法人の得た利益の分配を受ける地位にあることから、職務執行の対価として相当とされる金額を越える部分は損金の額に算入しないこととしています。
この仕組みを利用すれば、例えば、実質的に役員である者を使用人とするなどの方法で、会社と役員を通じた全体の税負担を不当に軽減することができます。そこで、法人税法では、株主等の3人以下とこれらの株主等と特殊の関係にある個人及び法人で株式の総数又は出資金額の合計額の50%超を保有している会社を「同族会社」とし、非同族会社と区別して特別の規定を設けています。例えば、同族会社の課税上の特別規定として、
・同族会社の使用人のうち一定の株式を保有している者は、役員とみなされる場合がある
・同族会社の役員のうち、使用人兼務が認められない者があり、その者に支給する使用人分賞与の額は損金の額に算入されない
などがあります。
平成18年度税制改正において、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度が創設されました。特殊支配同族会社とは、同族会社の中でも特にひとつの株主グループの占める割合が大きい会社のことであり、簡単に言うと個人事業者がその家族などだけで出資した会社とも言えます。この制度が創設された経緯としては、平成18年5月に施行された会社法で最低資本金の要件の撤廃等により個人事業者の法人成りが容易に行うことができるようになり、この法人成りにより、オーナー給与を法人では経費として損金算入し、個人では給与所得控除額を所得から差し引くことができるため、経費の二重控除を制限する必要がありました。そこで、一定要件に該当する場合には、オーナー給与に係る給与所得控除額相当額を損金不算入とする制度が設けられました。この制度ではオーナーを法人の業務を主宰している役員一人を指す「業務主宰役員」と規定しています。