IMF、11年の世界経済成長見通しを4.3%に小幅下方修正
- 【ワシントン】国際通貨基金(IMF)は17日、2011年の世界経済成長見通しを0.1ポイント引き下げ前年比4.3%に小幅下方修正するとともに、欧州債務危機や米国の予想外の弱い成長が当初予想時より世界景気回復のリスクとなっているとの見方を明らかにした。
これは、ギリシャ債務問題が深刻化、昨年5月の救済策決定時の様々な支援条件となっている改革をギリシャ政府が不履行とする懸念や、同国の拡大する資金不足への欧州諸国の対応がこう着状態となり問題が他の域内諸国へ飛び火するのではとの不安の高まりを受けたものとみられる。
今回の見直しでは、2011年の米国成長率は0.3ポイント下がって年率2.5%に、来年も2.7%に下方修正された。引き下げ理由としてIMFは、世界商品相場の高騰、天候不順、東日本大震災によるサプライチェーンの障害などの一時的要因を挙げた。
ただ米国の低成長は、ドイツ、フランスなど欧州主要国の予想を上回る成長で概ね相殺された、としている。
一方、大地震、大津波、それに続く原発事故に見舞われた日本については、4月時点予想の1.4%から2.1ポイント大幅下方修正し、0.7%のマイナス成長とした。
新興市場諸国についてIMFは今年も世界成長の原動力となる力強い成長が続くと予測、このため2012年の世界全体の見通しは4.5%の成長を予測した。ただ新興市場国の多くで景気の過熱の兆候が出始めているとして、ブラジルの今年の成長率をほぼ0.5ポイント低い4.1%に下方修正した。
IMFは世界全体としてみると、この4-6月期は減速するものの、年後半には成長の勢いが戻ると予想。「成長の基礎的原動力は壊れていない」とし、その原動力に世界各国の景気刺激策、(東日本大震災などで累積した)繰延需要、新興市場国への投資積極や成長潜在力を挙げた。
記者: Ian Talley
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