【ワシントン=御調昌邦】国際通貨基金(IMF)は16日、日本が財政再建に向けて、消費税率を15%に引き上げるべきだとの報告書を発表した。日本の消費税率は国際的に低水準として、2012年から17年にかけて15%に段階的に引き上げる試算を示している。大詰めを迎えている社会保障と税の一体改革や東日本大震災後の復興財源を巡る論議などに影響を与えそうだ。
IMFは今回の報告書について組織的に決定したものではないとしているが、日本の公的債務が「国内総生産(GDP)比で200%をはるかに超える水準に達している」と指摘。財政健全化に向けた取り組みが急務との見方を示した。
財政再建の進め方として半分を歳入増で、残りを歳出の伸びの抑制で実現する手法を提示。歳入増の手段としては、課税範囲が広いことなどを理由に「消費税引き上げが最も適している」と説明している。
税率の引き上げ時期としては、震災後の景気回復が予想される12年から実施すべきだと主張。増税に伴う経済的な悪影響を抑制するため、段階的で、緩やかな税率上げが有効としている。最終的な税率については「15%という数字は経済協力開発機構(OECD)諸国と比較すると高い水準ではない」とした。
同報告書では、食品などの生活必需品で例外を設けない単一税率も提案している。税務を簡素化するのが狙いで、低所得者への負担軽減は歳出面で対応する方が効率的としている。
IMFは加盟国の経済・財政状況を毎年審査しており、かねて日本の消費税率上げを提言しており、今回の報告書もこうした流れに沿っている。