夏の節電に向け、学習塾や予備校が夏期講習で授業の時間をずらす取り組みを始める。予備校大手の河合塾は昨年より開始時間を20分早めて、昼間を一時休講する。個別指導塾大手のリソー教育なども午前7時台からの早朝授業を始める。企業の「サマータイム」導入に合わせて、預かり時間を早める保育サービスもあり、例年より朝の早い家庭も増えそうだ。
夏期講習での早朝授業や
昼間の一時休講の例
法人名
内 容
河 合 塾
東京電力管内の約20校舎で午前8時40分から授業を開始。午後2~4時は一時休講
リソー教育
首都圏の64校で午前7時30分から授業開始。終了時刻の前倒しも検討
日 能 研
首都圏の48校で午前7時から授業開始。午後1時30分~4時に2時間程度休講
ワオ・コーポレーション
学習塾「能開センター」などで授業開始時間の前倒しを検討
河合塾は今年の夏期講習で午前8時40分から授業を開始する。昨年は午前9時からだった。また午後2時から約2時間は休講とし、午後4時から授業を再開する。東京電力管内にある約20校舎が対象。
昼間を休講する分、授業の終了時間は昨年よりも約1時間遅くする。校舎によって異なるが、最も遅い校舎で午後9時半に授業を終了する。昼間の休講中は各校舎内にある自習室を生徒に開放する。
リソー教育は、7月下旬から8月末まで展開する夏期講習の授業開始時間を例年より1時間半ほど早め、午前7時半からとする。首都圏に展開する小中高生対象の個別指導塾「トーマス」の全64校で実施する。最後の授業を終了する時間は午後9時半に設定する予定。
日能研は首都圏の半数強の48校で、昨年より1時間20分早い午前7時から授業を始める。午後1時半~4時の間に教室を2時間程度いったん閉鎖した後、授業を再開する。
学習塾業界は政府から、東京電力と東北電力管内で今夏に15%の節電を求められている。例年昼間は授業数が最も多い時間帯で「昼間の休講は最も節電効果が高い」(日能研)と判断、授業時間の分散化に踏み切った。
関西電力も15%の節電を要請したことから「保護者に早朝授業の導入についてアンケートをとって判断したい」(大手学習塾)という動きも出始めた。全国271カ所で学習塾「能開センター」や個別指導塾などを展開するワオ・コーポレーションも、節電対策として授業開始時間の前倒しを検討している。
小さい子供がいる家庭でもサマータイムの影響が見込まれるため、保育所や学童保育が早朝や土日も子供を預かる対応を始めた。東急グループで学童保育を手がけるキッズベースキャンプ(東京・世田谷)は都内と神奈川県の全15カ所で、7月19日~8月31日まで通常より30分早い午前7時半から開園する。
保育サービス大手のポピンズコーポレーション(東京・渋谷)は、愛知県と三重県にある事業所内保育所2カ所で日曜も子供を預かり始めた。また関東や関西の企業から「ベビーシッターや保育士を土日に派遣してほしいという要請が10件以上きており検討中」(同社)という。
外食やサービス業で早朝や昼間の空き時間対応が加速しそうだ。すでに大手ファストフードでは、モスフードサービスが一部店舗の開店時間を早めるほか、日本ケンタッキー・フライド・チキン(日本KFC)が朝食用メニューの導入店を増やすといった方針を打ち出している。