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6/6雑感(欧州とアメリカ)
先週はアメリカで国債の発行上限を引き上げる法案が否決されました。
アメリカは法律で国債の発行上限額が決まっているのですが、先月中旬に国債発行額がこの上限に達し、現在連邦政府は国債発行による資金調達ができない状態になっています。もちろん留保分がありますのですぐにどうこうということはないでしょうが、ガイトナー財務長官は公務員の年金積み立てを金を利用してしのぐと発表をしました。足下の状況は国家保有の不動産を売却したり、金を売ったり、ということで目先の資金を確保していかなければならない有様で、なんとかして国債発行を行いたいというのがアメリカ政府の考え方でしょう。
とりあえず7月一杯は見通しが付いているようですが、このまま事態が改善しなければ最悪国家からの支払い遅延や公務員の給与未払いというような事態も発生しかねません。今のところQE2は6月終了の方向で動いているようですが、その後の株価についてはこういった背景状況のなかで推移していくことになりますので慎重な見方をしていた方が良いと言えるでしょう。
また、日本ではほとんど報道されていませんが、ギリシアでは取り付け騒ぎが発生しています。先週までで一兆円近い預金が銀行から下ろされたらしく、ギリシア国民は国家の破綻を織り込んだ行動に出始めています。ギリシア危機についてはソフトランディングで乗り切れるという意見から大恐慌の再来になるという意見まで様々ですが、少なくともユーロ経済圏においては通貨統合以来最大の危機であることに間違いありません。
CDSスプレッド(これが高いほどデフォルトリスクが高いとされていて、通常社債では200bpsを超えると危険といわれています。ただし、ここではソブリンのスプレッドのため、単純に200bps=破綻という考え方はできません)で見るとギリシャ国債は1276bps、アイルランド国債は618.5bps、ポルトガル国債は618bps、スペイン国債は240bps、といった状況になっています。これに続いてイタリアも148bpsという水準まで上昇してきており、欧州全体として危険な水準にあるといえるでしょう。ちなみに、東京電力のCDSスプレッドは800bps台前半です。もちろん簡単に比較できるものではありませんが。
また、日本市場もついに外国人投資家の買い越しが終わり、売り越しに転じました。先週は週の中ばに大きく上げたものの、金曜の大引けまでの間に値を落とし、週足で見ると上ひげ付きのほぼ横ばいとなりました。この状況からもやはりトレンドは下落に転じたと考えられ、投資戦略もこれに合わせたものに切り替える必要があると言えるでしょう。システムトレーダーであっても、ほとんどのシステムはトレンドの方向性によって大きくパフォーマンスが変化するため、今後の市場シナリオを想定した上で運用システムの切り替えを行うなどの対策が必要になるタイミングと考えられます。
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