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独電気料金、「脱原発」で1割上昇へ 製造業に警戒感
【フランクフルト=下田英一郎】政府が6日、脱原発政策を閣議決定したドイツでは、産業用の電気料金が約1割上昇する見通しだ。自動車産業など国内製造業はコスト負担増に警戒感を強めている。一方、電機大手シーメンスが原発事業からの完全撤退を模索し、再生可能エネルギーを強化する企業が相次ぐなど、事業構造の転換の動きも広がってきた。
レスラー独経済技術相は同日の記者会見で「脱原発で1キロワット時あたり1セントの値上げが見込まれる」と述べた。これは国内の産業向け電気料金で11%の値上げに相当する。現在、原発が担う国内電力の2割強を、風力発電や太陽光発電などコスト高な再生可能エネルギーなどで賄うためだ。
ドイツの産業向け電気料金は原油高などのため、過去10年で4割近く上昇。欧州域内でもすでに割高で、原発に国内エネルギーの8割を依存するフランスに比べ7割も高い。化学大手BASF前社長のユルゲン・ハンブレヒト氏は「これ以上の負担増は受け入れられない」と批判、国内生産拠点の海外移転の加速を示唆する。
基幹産業である自動車産業へのコスト面での影響も大きい。電気料金の1割値上げで、1台当たりの生産コストが190ユーロ(約2万2000円)上昇するという試算もある。メッツラー銀行のアナリスト、ユルゲン・ピーパー氏は「電気料金の値上げで、電気自動車(EV)の普及が遅れる可能性がある」と指摘。米国や中国とのEV開発競争でドイツが出遅れる可能性が出てきた。
ただ、独産業界には国民の間で過熱する反原発運動への配慮から、表だって脱原発政策を批判できない雰囲気が広がる。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は「今の状況で事実に基づいた批判をしても、自動車産業が悪役になるだけだ」とあきらめ気味だ。
ダイムラーやフォルクスワーゲン(VW)など自動車大手は、人件費などが安い東欧や新興国での生産拡大に動いており「脱原発が現在の経営戦略に大きな影響を及ぼすことはない」(ピーパー氏)との見方が強い。
原発事業の見直しも加速しそうだ。シーメンスは仏原子力大手アレバとの合弁を今春解消。ロシア国営の原発大手ロスアトムとの合弁の解消も検討中とされる。この合弁は2009年に設立したばかり。ロスアトム側は提携継続を望んでいるが、シーメンスは世論の批判が強まる原発から、次世代電力網「スマートグリッド」や鉄道、水道整備など都市インフラ事業に軸足を移したい考え。
エーオンやRWEなど電力大手も、風力発電事業の強化にそれぞれ数千億円規模の投資を実施することを決めた。ドイツ鉄道は、再生可能エネルギーの配電に自社の鉄道向け送電網を活用する計画を検討中だ。
脱原発で需要が増加する再生可能エネルギーは、送電能力の不足が課題となる。ドイツ鉄道は鉄道用向けに全国規模の送電網を持つ。これを活用すれば送電コストが大幅に抑えられ、ドイツ鉄道にとっても新たな収益源となる。
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