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5/10雑感(米国の失業率)


先週は週半ばに米国で発表された先々週の新規失業保険申請数が予想に反して悪化し、雇用情勢の後退懸念から株価は大きく下げました。これを受けて、金曜日に同じく米国で発表される予定になっていた雇用統計に注目が集まっていました。
結果は雇用人数は改善したものの失業率は悪化した、という内容でした。それでも新規失業保険申請数から雇用者数減まで連想していた市場には「予想よりは良い」と受け止められたようで、アメリカ市場は若干上昇して先週の取引を終えています。
ただ、ここでの問題は雇用人数が増えているにも関わらず失業率が悪化しているということです。実は雇用統計は「就業意志のない人」は就業していなくても失業者としてカウントされません(失業率計算時の労働力人口に含まれない、という意味です)。この場合の「就業意志のない人」とは(例えば金銭的に余裕があって)働く必要のない人だけではなく、何らかの原因で就業をあきらめてしまった人も含みます。この「就業意志のない人」が、現在アメリカには600万人程度存在します。失業者としてカウントされている人がそれと別に1,300万人程度存在しており、雇用統計で算出される「失業率」は労働力人口に占めるこの1,300万人の割合です。ちなみにここ数ヶ月の就労人数の増加は毎月20万人前後で、先週発表分では24万人の雇用増でした。
今回失業率が悪化したのは雇用情勢の改善を見て、「就業意志のない人」のうち、就業をあきらめていた人たちが就職活動を始めたために労働力人口として加算されたものと考えられます。つまり、就職活動を再開した人が24万人以上いたということです。この労働力人口予備軍の人数に対して毎月の雇用増数は明らかに足りておらず、今後も同じような状況が続く可能性があると言えるでしょう。もっと言えば実際の失業率は10%台中盤と見ても差し支えない状況であり、本当にアメリカの雇用情勢を「改善」として捉えて良いのかどうかは疑問です。アメリカの雇用統計は今後もキーになる統計ですので、こういった背景を念頭に置きながらチェックをしていきましょう。
一方、ユーロ圏ではギリシア不安が再燃しています。ついにギリシアがユーロから離脱する可能性が出てきたということで、ユーロが各国通貨に対して値を下げる展開となりました。ポルトガルはすでに破綻しましたし、スペインも安心して見ていられる状況ではありません。もしこれらの国がすべて危機を迎えると、域内で連鎖的に危機が発生する可能性もあります。欧州危機への最大の支援国であった日本が現在それどころではない状態のため、楽観はできないといえるでしょう。
今週の指標は木曜日に工作機械受注統計が発表されます。また、3月の国際収支も、震災の輸出への影響を測る意味で注目しておく必要があるでしょう。アメリカでは水曜日に消費者物価(CPI)と鉱工業生産の発表が予定されています。木曜日には先週の下落を引き起こした新規失業保険申請数(毎週発表)があります。先週大きく動いた指標だけに、今週も注目しておく必要があるでしょう。また、ユーロ圏では金曜日にGDPが発表されます。もしかしたら震災による生産調整の影響が出てくるかもしれませんが、影響は小さいと考えられます。
2件のコメントがあります
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    yoc1234さん
    2011/5/10 12:31
    こんにちは。

    雇用の改善も余り進まず、移民の数も増えて、変な国です。

    お金を目当てに群がってきて、生活保護を受けていたりする。

    ただ、誰もが前向きで、消費が低迷しないのがこの国。

    日本は都知事に代表される風評被害をおこして、消費がしぼむ。

    実際は、水が足りない、長靴や毛布が売れて、消費は拡大。

    マスコミは全くこのことを伝えない。
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    MDRさん
    2011/5/16 23:07
    > yoc1234さん
     コメントありがとうございます。

     そうですね。アメリカは後ろ向きになることがなく、なんだかんだで消費を軸にした経済が回っているという感じがします。おそらくは政府とFOMCを中心とした当局が上手く立ち回っているのではないでしょうか。

     対する日本は悲観的な見方が多く、マスコミも視聴者が好みそうな情報を中心に流すからますます悲観的になっていきますね。しかし実際のところ、(私たちは宮城に拠点を置いていますが)地震以降は備えのためによりお金を使っていると感じます。
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