政府・民主検討
政府・民主党は東日本大震災の被災地の再開発に民間資金を呼び込む具体策の検討に入った。商業施設の建設が見込める土地などを国が買い上げて証券化したり、官民ファンドをつくったりする案が浮上している。民間資金の活用で財政負担を軽くしながら、円滑に再開発をする狙い。政府の復興構想会議などで議論し、具体的な予算や制度改正などを検討する。
国が買い取りや再開発を検討するのは市街地で商業施設としての需要がある土地や、高台で新しい住宅街を設ける場所、地震や津波の地盤沈下で水没している土地など。民間資金を活用した社会資本整備のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)や、事業の企画段階から民間がかかわるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の手法も検討する。
国は買い上げて再開発した土地を保有し続けるのではなく、企業や市場に売り出して財政負担を減らす狙いがある。証券化すれば幅広い資金を調達できる可能性が高く、民主党の国土交通部門会議も検討課題として挙げていた。
政府・民主党内には国が一部の資金を拠出する復興ファンドを新設する案もある。民間企業などからも資金を募り、投資することでプロジェクトの資金を手当てする。2011年度第2次補正予算案に関連経費を盛り込むことも検討する。
海岸付近の水没した土地についても国が買い取る案があるが、再開発は難しい。政府内では津波などを警戒し、水没した地域の土地を買いとったうえで、居住を禁止する案も浮かんでいる。
具体案は構想会議や同会議の検討部会などで提案が相次いでいる。ただ、権利者が亡くなっている土地の扱いや、買い取り額などをめぐって交渉が難航する可能性もある。政府は関係自治体や住民の意見を踏まえ、慎重に検討を進める構えだ。