米司法省が3日、ニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に提出した訴状によると、ドイツ銀行とその子会社モーゲージITはローンの借り手がデフォルト(債務不履行)のリスクに直面することはないと虚偽の言質を与え、米住宅都市開発省(HUD)の連邦住宅局(FHA)による住宅ローン保証の資格を得ていた。
司法省は、ドイツ銀とモーゲージITが借り手の収入や信用度の分析を求めているHUD規定を「甚だしく」違反することで、問題のあるローンを隠ぺいしていたと指摘。モーゲージITは1999年以降3万9000余りのローンについて、FHAの保証対象として承認し、こうしたローンが「再販で高い需要を得られる」ようにしていた。このうち、1万2500のローンはデフォルトに陥った。
訴状では「ドイツ銀行とモーゲージITはこうした政府保証付き住宅ローンの再販により利益を得た一方、米国の住宅所有者はデフォルトや立ち退きに直面しているほか、米政府は数億ドルもの保険金を支払った上、今後も数億ドルの支払いが見込まれている」としている。
ドイツ銀はモーゲージITを2007年1月に4億2900万ドルで買収し、翌年には事業を閉鎖した。
ドイツ銀の広報担当ルネ・カラブロ氏は、「当社は訴状を受けとったばかりで、現在精査中だ」とのコメントを電子メールで発表。「モーゲージITと当社に対する訴えは不合理かつ不公正であり、これに対して精力的に当社を弁護する考えだ」とした。