今年の母の日(5月8日)のプレゼントは、「節電」がキーワードだ。扇子などの定番商品に加え、日差しだけでなく、熱を遮る日傘や保冷剤を入れられるハンカチが特設売り場に並び、人気を集めている。
東武百貨店池袋店(東京都豊島区)では4月下旬から1週間で、扇子の売り上げが前年同期の2・2倍になった。価格は5千~1万円で涼しげな花柄が人気。「いつもより電車の中が暑いから」と買い求める客が多い。
一方、松坂屋上野店(台東区)は、日傘の販売が「昨年よりも2割以上増えている」という。日焼け防止の紫外線カットに代わり、今年の注目は「遮熱機能」。生地に特殊加工を施し、傘下の温度を下げるタイプが売れている。
ポケット付きのハンカチが売り上げを伸ばしているのが、小田急百貨店新宿店(新宿区)だ。ファスナー付きのものもあり、保冷剤を入れて使う。すでに約1300枚を売り上げた。
西武池袋本店(豊島区)は、4月半ばに放熱効果のある「クール寝具」を売り場に並べたところ、「母へのプレゼントに」と買う客が相次いだ。ベッドに敷く「ひんやりクールパッド」と枕パッドで、1万円前後が売れ筋。「これまで母の日の需要はなく、ギフト包装にも対応していなかった」が、大型連休を狙いギフト向けに強化した。
百貨店の担当者は「気取ったものよりも、暮らしやすさにつながる商品が選ばれている」と分析する。