所用のため遅くなってしまいましたが、4月28日に経済産業省が発表した3月の鉱工業生産動向を出荷在庫バランスを用いて見てみたいと思います。
出荷の増減率から在庫の増減率を差し引いて算出する景気指標である出荷在庫バランスが、3月11日の東日本大震災の影響をどのように反映したのか注目されるところです。
結論を先に申しあげておくと、出荷在庫バランスは確かに下落したのですが、必ずしも極端に大幅なものではなかったように見えます。大震災が11日ということで、影響がフルに出ているわけではないので予断は許しませんが、非耐久消費財が堅調であったことや、生産の減少のために、出荷の落ち込みにもかかわらず、在庫の増加が抑制されたことなどに注目しています。今後、在庫の抑制が続けば、在庫循環モメンタムがさらに低下したとしても、リーマンショックのときのボトムの水準まで低下せずに反発局面に入ると考えています。
まず鉱工業生産の前年同期比の推移から。
鉱工業全体の出荷在庫バランスは次のようになっています。出荷は落ち込んでいるのですが、細い点線で示す在庫がわずかに低下していることに注目しています。
耐久消費財。自動車の大幅な落ち込みを主たる要因として、出荷在庫バランスは大幅に下落しました。サプライ・チェーンの問題から、生産が出荷を抑える状況が続き、鉱工業全体の重石になりそうな気配です。
対照的に、食品や衣料品を主力とする非耐久消費財は好調でした。飲料や食品など日用品の好調な動きが鮮明でした。百貨店よりも、食品スーパーやコンビニで扱う製品の堅調な動きが鮮明で、2極化の様相が見えます。
資本財の出荷在庫バランスは低下しましたが、比較的に小幅でした。
輸送機械を除く資本財の出荷在庫バランスの低下幅は多少大きめです。ということは、自動車関連の設備機械に対する需要が3月時点では大きく悪化していないことを示唆しているようです。
建設財。比較的に大きく落ち込みました。ただし、セメント、ガラス、電炉鋼(棒鋼、H形鋼など)の建設資材に対する需要は今後大幅に膨らむものと見られます。
電子部品や化学製品、高炉鉄鋼製品などの生産財の出荷在庫バランスも落ち込みました。ただし、在庫が積みあがっていない状況には注目は必要です。
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