手数料・金利がなければトレード1回ごとの勝ち負けは50-50のはずである。だが個人投資家が主に使うとされる信用取引の信用評価損益率は平均約10%のマイナスで、プラスになることはめったにない。この指標には手数料や金利は含んでいないはずである。みんな利益を求めて投資するのになぜ損をすることになるのだろう。
ヘボ碁を表す言葉に「取ろう取ろうは取られの元」という言葉がある。欲を出せばろくなことがないということである。株式投資を始める人はたいてい買いから入る。買うときはみなこれから上がるだろうと思うから買うのだが、なぜ上がると思うのだろう。いろんな理由が考えられる。、、、などなど。その情報はいつ発生したのだろう。自分が一番最初に知る人のわけはないし、買う人全員の上位半分に入るかどうかも判らない。一番確実なのはインサイダー情報だが、これを使うのは勿論犯罪である。大体の情報は正式に発表されると30分くらいで一次的には市場の価格に反映されてしまうように思う。場が引けた後に発表された情報は翌日の寄付で消化されてしまう。でもそこから上昇トレンドや下降トレンドは始まることはめずらしくない。行き過ぎで戻すこともよくある。要は情報解釈のコンセンサスができあがるまでに時間がかかるわけである。MBOなどによる公開買いつけ価格などが公表されると評価は明白なので一気にその価格まで飛んで行きその価格で固定してしまう。例えば20%増益予想が発表されたとしてそれを評価した株価がいくらで落ち着くかを誰がすぐに判るだろうか。25%アップが大方の予想であったなら失望売りや材料出尽くしということもある。材料による売り買いは検証がほとんどできないだけにやっかいだ。
情報雑誌や証券会社の勧めで買う人もいる。たいていは上がる予想ばかりである。もっと上がるだろうという欲で買い、ちょっと上がれば損をしたくないという欲で売る。損は大きくなれば塩漬けで、元の価格に戻ればやれやれ売り。これでは勝てるわけがない。私もこういうやり方をしていたときもある。
チャートやテクニカルなトレードでも同じだ。GC・DCを始めよく知られた指標で儲かるなんてことはなくはないがあてにはできない。上がったら買う順張りでも下がったら買う逆張りでも大差はない。ただこれらはかなり検証できる。
売りでも買いでも新規に建て玉するときは勝敗は50-50のはずである。負けるのは損をする価格で清算するからである。損をだす価格では清算しないというのも立派な戦略だと思う。ただ。買いから入ると破産や上場廃止などがあり歴史上の最高値で買うことだってありうる。これに対抗できるのは絶対に破綻しない株でナンピンを繰り返すドルコスト平均法しかないと思っている。欲が深ければこの手は使えない。
少しの損で損切りする手もある。これは損をしたくないという気持ちに打ち勝つことだからちょっと高級だ。しかし、大きく損したくないという欲が先にたつと小さな損を繰り返すことになる。
欲の渦巻く市場で勝ち残るには強欲か無欲しかないのかもしれない。