偶然出会った、たくさんの必然
主人公・秋月和也は熊本県内の高校に通う17歳。ひょんなことからついてしまった小さなウソが原因で、単身、東京ディズニーランドへと行く羽目になります。ところが、アクシデントが重なったことから最終便の飛行機に乗り遅れてしまう和也。所持金は3400円。「どうやって熊本まで帰ればいいんだ…」。途方に暮れる彼に「おい!若者」と声をかけたのは、空港内の土産物売り場で働く一人の中年女性だった-。
旅を通して人生を考え始めた高校生に市井の大人たちが語りかける、あたりまえだけどキラリと光った珠玉の言葉の数々。
特別な大人は誰一人登場しません。離婚をきっかけに、子供と会えなくなってしまった土産物売り場の女性。娘の結婚が認められないトラック運転手。親不孝をしてしまった美容師。学生時代、勇気が出せずに親友を裏切った警察官。自分のプライドを守るためだけに職業を選んだ医者…。みんな、ごく普通の日常生活の中から得た体験談を主人公に語りかけていきます。
出会う人たちの日常に触れながら、自分の日常をも見なおす機会を得る主人公の和也。その体験の中で、同時に「生きる力」についても学んでいくのでした。
誰の人生にも起こりうる出来事から物語をつむぐ名手の作家がお届けする感動の物語は、幅広い読者(12~77歳)に支持され、たくさんの読者感想はがきが届いているほどです。
「物語」の存在が必要とされている現在、ずっと読み継がれていく作品となる予感がしています。