大日精化工業(4116)が値上がりし、前日比63円高(15%)、出来高537万株、東証1部値上がり率の2番目となっています。同社が製造している顔料のフェロシアン化鉄が、原子炉から出るセシウムに汚染された水を浄化する効果があるというので買い上げられているようです。実験では、処理後の水から検出されたセシウム濃度は1万分の1以下となり、ほぼ100%除去できたそうです。
「またか」という感じです。
私はこの株を07年の1月に670円で購入しましたが、リーマンショックの際に配当政策がはっきりしないために、08年の終わりころ300円くらいの株価で投げてしまいました。現在は時ならぬ値上がりに指をくわえて見ているだけです。それでも、この会社のことはよく知っています。
同社は、地味な会社ですが顔料の大手で、インキ・塗料用のほか情報記録材料にも用途を広げ、今期業績も安定的の伸びているとされています。値上がりの初期段階では、この業績の成果の反映かと思っていましたが、どうもそんなことではないようです。
阪神大震災の後、中小型の建設株価が大きく値を飛ばしました。復興関連株と称して、2倍3倍になった株がオンパレードでした。今回も阪神大震災の後を追うなら、復興特需で潤う会社の株が、大きく値を飛ばしてもおかしくないのですが・・・。
値上がりした株のその後の動きや、株のお好きな方が、先物・外国株・通貨のほうなどに流れて、個別の銘柄にはさほどの興味を示さなくなったことなど、原因を挙げればきりがありません。
私は、今の自粛ムードから、災害で儲かる会社に投資するのはという気持ちが背景にあると想像します。これが外国なら、もっと貪欲です。儲かることならなんにでもお金を投じます。何で儲かったなんか気にもしませんし、勝てば官軍なのです。外国人がずっと日本株を買うのもこんなところにあるのかもしれません。
さて、大日精化工業株の暴騰は何を意味するのでしょうか。日本人も、そろそろ服喪期間が取れ、非情な株式市場の機能を理解し始めたのかなという気がします。復興特需で業績が伸びる会社を次々と見つけ出し、2倍3倍になってくる会社が続出するようになれば、日本の株式市場もまた復興から立ち直れるきっかけがつかめそうです。