face="MS 明朝">[東京 13日 ロイター] 富国生命保険は2010年度の一般勘定の資産運用について、ドル建てを中心とした外国公社債の運用を積み増す方針を明らかにした。 半面、国内株式投資はインセンティブに乏しいとのスタンスから、国内株式は減らすという。国内債券、不動産についてはほぼ横ばいでのぞむとしている。 一方、金融危機後のリスク回避で安全性を追求してきたこれまでの運用スタンスから、収益を見据えた資産選別を検討していくとしている。 同社財務企画部長の渡部毅彦氏が13日、ロイターとのインタビューで述べた。詳細は以下のとおり。 期中のドル/円為替の予想レンジは1ドル85円─110円。ユーロ/円は1ユーロ118円─145円。日経平均の想定レンジは1万円─1万4000円とおいている。 <外国公社債は数百億円程度の積み増しも> 今年度の運用テーマとして、サムライ債を含む外国公社債の数百億円規模の積み増しがあげられた。内訳はヘッジ外債とオープン(ヘッジなし)外債それぞれが同程度の割合となる見込みとしてる。 大幅な円高リスクは後退したとの認識を背景に、収益追求でドル建てを中心に買う予定。「これまではリスク回避で8割─9割のヘッジをしてきたが、今後はヘッジなしのオープン外債にする選択肢もあるとみている」(渡部氏)という。 米長期金利の予想レンジは3.2%─4.5%とおいた。 ユーロ建てについては、ギリシャなど複数加盟国の財政問題で不透明感が強いことから、今のところ積極的な運用とはならない見込み。渡部氏は「いずれにしても外債は長期保有ではなく、単年が基本となる流動的な投資となる」と述べた。 国内公社債は保有を横ばいとする方針。ポートフォリオのなかで5割近いウエートを占めており、「国内金利は依然、低水準ではあるものの、先行きの金利上昇懸念を意識すればこれ以上積み増さず、外国債券にシフトすることになる」(渡部氏)という。 期中の10年債利回りの予想レンジは1.20%─2.0%となっている。「1.5%が中心になるとみている。また、1.5%を超えれば買いやすい水準だ」とみている。 デュレーションは10年弱を維持し、10年債と20年債を組み合わせて再投資する方針。 <国内株式のウエートは引き下げ> 国内株式については、引き続き消極的だ。渡部氏は「景気回復を背景に国内株の戻り基調は続くとみているが、日経平均が1万3000円─1万4000円まで戻ったとしても、その先の上値は重くなるのではないか。株価が上昇しても長期保有するインセンティブに乏しい」とみており、上昇すれば利益確定売りして、他のアセットに再投資するとしている。 <新興国に着目> 渡部氏は、2010年度の運用方針の特徴として、リスク分散の観点から新興国に着目していくと述べた。新興国関連への投資は現在、ほとんどないものの、今年度以降、投信だけでなくインフラ関連など新興国への投資を検討していく必要があるとの見方を示している。 他方、企業貸付や不動産については横ばいで維持する方針。企業貸付は、企業の資金需要が活発でないことがその理由だ。不動産については「市場は軟調ではあるが、投資妙味のある物件があれば検討対象とするスタンス」(渡部氏)としている。 (石渡亜紀子記者、大塚理加記者;編集:内田慎一)