"損切以外のリスク管理"第2回のテーマは『自身のイメージと実態は乖離してないか?』です。かなり長い文になってしまったので前半・後半の2部構成となります。今回はその前半部です。
この『自身のイメージと実態が乖離していないこと』の重要度は主に以下の理由で重要です。
・イメージとおりで無いということは感覚がずれているのでそのままの状況でトレードに挑んでいるのは危険。
→危険な状況というのは大敗する可能性があるのでリスキーである。
・現物で株式の取引をしている場合は『控えめな予想』というのが大敗し難い。がFXはそうではない。
株式→『騰がりそう』だと買う、『下がりそう』だと買わない。
FX→『騰がりそう』買う、『下がりそう』売る。
よって株式であれば『騰がりそう』な場面を少々取り逃がしていても、それ以上に偶然『下がる』場面を買わないだけで相当なリスクを軽減可能なので問題がなかなか表面化しなかったりします。つまりはイメージと実態が少々乖離していても控えめなやり方をし続ければ(利益が出てきて急に強気になったりしなければ)少々の乖離は問題として表面化する可能性は低いです。
FXをやる上で『視線を片方にする』(=ロングで行くのかショートで行くのかはっきりさせる)事を初心者に強く勧める人がいるのは上記の株式現物の場合に近い状況でFXをやれるようにする為と思われます。
相場のコンディションによって1日とか週のレベルでロング側かショート側を切り替えが必要です。これが素早く的確に出来れば出来るほど『イメージと実態が乖離してない』ことになります。究極的にはチャートの動きの通りにポジションを取れる状態といえるでしょう。このレベルになるには秒単位よりも早いレベルでの切り替え能力が必要です。人間はそのレベルには到達出来ないので現実的な切り替え速度は秒単位以下よりもだいぶ遅くなります。
この切り替え速度が遅ければ遅いほどポジションを取るときに決断を要しますが以降は視線の切り替え作業は決済の時以外不要なので『イメージと実態が少々乖離していても問題として表面化し難い』状況になってきます。この辺りの事がベテランの大物トレーダーの方が長期投資を勧め、スキャルピングに対して否定的になる理由の1つでしょう。もう1つの理由はベテランの大物トレーダーがネット上のコラムや本、セミナーで話をするときには不特定多数の人が相手となるので人の身体能力に依存するような話はし辛い立場にいるというのもあります。
損失の出るトレードをしている人はポジションを取る段階では誤操作で無い限りイメージと実態が乖離しているということになります。
このイメージと実態が乖離しにくい状況を如何に作れるのか?が勝率を引き上げる重要なファクターとなるのですが、未来の事はなかなかイメージしてもその通りになりません。だいたい社会情勢の類のどれだけ研究しても誤発注で大きく動くことだってあるのでイメージ通りにならない事が多いのは当たり前なのです。
ですが、ちょっと工夫することで自身のイメージが実態とどれだけ乖離した状態にあるのか?を確認し、修正していくことはある程度可能なのでそのことについて記します。
一日に複数回トレードしている人は少々熱くなって来たときに自身のこの一週間の収支であったり、過去10回分の取引結果であったり、今までの取引の利益のうちスワップポイントが何%なのか?等何か過去のトレードの複数回数の合計がどうだったのかを思い出してください。これを思い出したら次は実際の過去の取引結果とこの思い出した数字を比較してみてください。
これが乖離していれば乖離しているほど自身についてすらイメージと実態が乖離しているということになります。
これでは高い勝率は望めないと思います。
孫子の兵法の最初に出てくる『敵を知り、己を知れば百戦は危うからず』といわれるとおり、自身の姿を知るということはそれだけで非常に有利な状況に居るといえます。
多くの勝負事の類で『記憶力が非常に良い』人がタイトルをとったり上級者だったりすることがあると思うのですが、これはきっと自身のイメージと実態の乖離を意識しないでも照らし合わせることが行われ、アジャストメントされる恩恵を受けているからだと私は思っています。
ただ、記憶力は鍛えることは出来ますが、明日から急激によくなる事は望めません。
そこで過去の取引記録を毎日でも表計算にでも落として自身でいろいろ集計してみてください。そうすることで自身の傾向が飲み込め、修正点が見つかり勝ちやすくなると思います。又、自身で集計することで、何度となく書いている『構想』→『準備』→『実行』→『後始末』のうちの『準備』と『後始末』が自動的に行われるということも勝ちトレードを量産しやすくなる事に貢献してくれると思います。
2回目の前半はここまでです。
今回書いたことは1回目の内容よりも実践しやすく、効果も即効性があると思います。
また、前述の通り、構造的に『構想』→『準備』→『実行』→『後始末』の中の『準備』と『後始末』を自動的にある程度やることになるのでこの面からも価値トレードが増えやすくなり、また、リズムが生まれやすくなると思います。
FXは株式に比べ自由です。自由ということは『制約が無い!』(=やりやすい)と見ることが出来ますが、同時に『制約によって守られない!』(=大敗しやすい)とも言えます。この『自由』な面によって利益を上げるか、損を重ねてしまうのかは自身次第です。
次回は2回目の後半、『自身のイメージと実態は乖離していないか?』の過去のことを振り返ることでのイメージと実態の乖離を修正する方法から『未来に関するイメージと実態が乖離幅は縮小する方法』について書こうと思います。