3/1雑感(騒乱の行方)

MDRさん
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ここ数カ月上昇基調だった株式市場は、先週から中東情勢の悪化に伴う原油高への懸念と、質への逃避による日本円買いが原因とみられる円高とで調整の様相を見せています。調整の幅が大きく、スピードも速かったため金曜日と月曜日は反発が見られましたが、依然として楽観はできない状態です。
そもそもはエジプトから火がついて燃え広がったという感のある今回のリビア騒乱ですが、地理的に近いヨーロッパや移民が多いアメリカにとっては日本とは比べ物にならないほど大きな出来事としてとらえられています。今後、同じ中東のほかの国々はもちろん、社会主義という形で実質的な単独政権支配が続いている中国やロシアにも飛び火する可能性がゼロとは言えない、という考え方もあるくらいで、世界的な問題への発展を懸念して日本円への逃避が発生しているというのが現状です。実際、特に中国ではチベット紛争のような火種も抱えている状況であり、本当にこれが拡大するようであれば世界経済に与える影響は想像がつかないくらい大きなものとなるでしょう。ようやく回復基調にある現状の中で、規模だけでなく成長率の面でも世界経済を牽引している中国には飛び火してほくないものです。
また、昨年から続いている緩和政策の下で市場には資金があふれている状態となっており、紛争によるリスク資産からの資金の巻き上げが加速すれば、行き場を失った資金が特定の市場に対して必要以上の高騰を呼ぶ可能性もあります。一番ありうるのは債権や貴金属先物といったあたりだと考えられますが、紛争の心配がなく、リーマンショック以降の出遅れが指摘され続けている日本株円は今後も逃避先として物色される可能性があります。もちろん急激に円高が進行すれば政府としても対応を行う可能性が高いと言えますが、輸出関連企業にとってはあまり芳しくない地合いになってきていると言えるでしょう。
今週の国内指標は昨日鉱工業生産指数が発表となりましたが、その他には特に目立った指標の発表予定はありません。一方、海外では雇用にかかわる重要指標の発表があるため、注意が必要です。まず本日はユーロ圏の失業率の発表が予定されており、続く明日はアメリカでADP雇用統計が発表されます。特にアメリカでは前回前々回と絶対的な数字は悪いものの若干ながら回復の傾向がみられており、今回悪化すれば株式市場に与える影響は大きくなりそうです。
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