先週の日経平均は連騰が続き、昨日も利益確定売りは強かったものの最終的には上昇して引けました。
この上昇の結果、日経平均は昨年9月から続く中期のトレンドの中ではいつ下落に転じてもおかしくない水準になりました。リーマンショック以降続いている長期の緩やかな上昇トレンドの中でも中間程度の水準に近づいてきており、これより上を目指すためには中期トレンドを壊すような大きな材料が必要な状況です。
ここ数週間、今の相場環境では買わない方が良いと書き続けてきましたが、実際の相場は緩やかながらも着実に上昇する方向で推移を続けています。今週は買わない方が良いと書き続けている理由について書いてみたいと思います。
まず、現在の相場環境でも株を買って利益を出す方法はあります。裁量トレードでファンダメンタルズの良好な個別の銘柄を買うという方法だけでなく、システムトレードでも株価が上昇を初めてから時間が経ったあと(今回は昨年11月からおよそ3ヶ月間上昇が続いています)に買って利益をすタイプの戦略が存在します。しかし現在のような相場環境では株価が上昇を続ける確率は高くないという問題があります。このため、今利益を出せるタイプのトレードシステムはこういったことを前提に、下がり始めた銘柄は素早く損切りし、利益の出ている銘柄はできる限り長く持ち続ける、という高度な手仕舞いのロジックを持っています。この特性上どうしても個別取引の勝率が20%~40%と極端に低いものになってしまうのです。
現在の十分に上昇した相場でもさらに上昇が期待できるような銘柄を裁量で探すことは様々な観点から一般投資家には難しく、また、システムトレードを用いても、長い間連敗が続いてしまう可能性がとても高いと言えます。もちろん、システムの出すシグナルに忠実に従えば利益を出すことは可能ですが、連敗に耐えてシステムを運用するということは誰にでもできることではありません。
一時的に含み益を出せても、それを確定できなければ当然勝ちトレードとは言えませんし(そして今の相場環境でこれを裁量で適切にこなせる投資家は多くはありません)、一時的に利益を出せたとしても、長期的に見て運用を続けていくことができなければ株式投資で勝ったと言うことはできないでしょう。
現在の相場で買うことは控えた方が良いと書いてきたのは、多くの人にとって現在の相場でも利益を出せるトレードシステムを運用することはとてもハードルの高いことであるからに他なりません。単純に「今の相場で利益を出せるから」という理由で安易にシステムトレードに手を出しても、多くの人は最終的に損失を出してしまう可能性が高いのです。安易に儲けに走らず、まずは現在の自分にあったシステムとは何かをじっくり検討してシステム選択をすることが重要だと言えるでしょう。
さて、今週発表になる国内指標は、まず今日1月の工作機械受注統計があります。金曜日には消費者物価指数も発表されますので注目しておく必要があるでしょう。消費者物価指数は0.3%の低下が見込まれています。海外指標は本日アメリカでS&P/ケース・シラー住宅価格指数が発表され、金曜日には同じくアメリカでGDPの発表が予定されています。アメリカのGDPは年率換算で3.3%の上昇というのが市場予測になっています。このほかにも水曜、木曜とアメリカの中古住宅、新築住宅の販売件数が発表されますので見ておいて損はないでしょう。