月曜の日経平均は9ヶ月ぶりの高値を付けました。昨年半ばからの中期トレンドの中では株価は高値に近づいており、通常であれば一旦調整が起きてもおかしくない水準にあります。このため、押し目を待って買うタイプのシステムや逆張り型のシステムでは買いのチャンスはまだ少し先になりそうです。一方、2009年の初め頃から始まった長期のトレンドで見ると現在の日経平均はまだ割安な位置にあり、このまま上昇していく展開も考えられます。特に今週の上昇はアメリカの雇用統計改善という強力なファンダメンタルズ要因が背景にあり、このようなファンダメンタルズの変化によって発生するトレンドは上昇下降にかかわらずもっとも強力なタイプのトレンドとなります。このため、トレンドフォロー型のシステムを運用している方であれば買いのチャンスといえるかもしれません。
しかし注意すべきなのは、どちらのタイプのシステムが優れているかではなく、どちらが自分に「合っているか」ということです。自分にあっているシステムこそが、自分にとって最も優れたシステムに他なりません。ですから、逆張り型のシステムでこれまで好調に利益を上げてきたシステムトレーダーが、今の相場環境では売買シグナルが出ないために急にトレンドフォロー型システムに乗り換える、ということはお勧めできません。逆張り型のシステムは比較的勝率の高いものが多く、運用中にも安心感を持って相場に望めます。しかし、トレンドフォロー型のシステムはあまり勝率が高くないものが多く、細かく損切りをしながら数少ない大きな利益を得られる取引で必要な利益を上げるものがほとんどです。逆張り型のシステムしか運用経験のない人が、これまでとまったく逆のタイミングで仕掛け、細かいながらも損失が続くタイプのシステムに急に適応することは不可能でしょう。システムに従うということは決して簡単なことではなく、市場から年間200%の利益を得られる優秀なシステムを持ったトレーダーが、運用に耐えられず精神障害に陥ったという例もあります。
今回のような大きな動きを持った相場では反応するシステムとしないシステムが明確に分かれるため、自分が運用中のシステムが利益を出せず、別のシステムが利益を出しているのを見るとつい目移りしてしまいがちです。しかし自分のシステムの強みが何であるかをよく理解し、他のシステムが勝てないときに自分のシステムだけが利益を出せるタイミングもあるということ知ることで、自分のシステムを信じ、より自分に合った運用をストレスなく続けていくことが可能となります。個別の取引やタイミングを見たとき、常に相場で勝ち続けることは不可能であるということを受け入れるのが、優れたシステムトレーダーへの第一歩と言えるでしょう。
さて、今週発表される指標は10日木曜日に国内で12月の機械受注統計、翌金曜日に中国で鉱工業生産、小売売上高、消費者物価、生産者物価、同じ日にアメリカでも2月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(予想値:74.5)が予定されています。いずれも重要な指標に変わりはありませんが、この中では国内の機械受注統計が特に重要です。しかし、雇用やアメリカの不動産といった経済の根幹に直接かかわるものはありませんので、先週末のアメリカ雇用統計の改善による影響のほうが大きいと考えられます。