フォーナインさんのブログ

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興味深い論文

要旨を更に要約すると、株式投資家は含み損を抱えてもなかなか損切りが出来ないが含み益が出ると早々に利益確定してしまう傾向がある。

 

一見、矛盾した行動にも見えますが、根底に損失回避の心理が働くという共通点があるようです。含み損を抱えている場合においては損切り(=損失の確定)を避ける、先延ばしする。合理的判断の有無に関わらず、持ち直してくれることを期待してしまう訳ですね。一方、含み益を抱えた場合においては含み益が目減り、消えることを恐れて早々に利益確定してしまう訳ですね。

 

感情だけで動いてしまうと、利は薄く、損は大きくという傾向に陥るようです。

 

 

 

 

証券経済研究 第72号(2010年12月)

投資家のディスポジション効果、短気と移り気(上)
―中国の株式投資家に関する実証分析―
閻石(中国東北財経大学金融学院講師)
テキ林瑜(大阪市立大学大学院教授)


〔要 旨〕
 金儲けの欲望が渦巻く株式投資の世界において,株式投資家は往々にして二つの非合理的な性向を持つ。一つは,現在の株価が買付価格より高い株式すなわち勝ち組を急いで利食い,現在の株価が買付価格より低い株式すなわち負け組をなかなか損切りできないという損失回避的性向である。ディスポジション効果とも呼ばれるこの性向は,投資家の心理バイアスによる側面が強い。勝ち組を保有する場合,投資家は,株価下落のリスクや株価下落時の後悔を回避するために,利益の確定で投資の成功を顕示しようとする。逆に,負け組を抱える場合,投資家は,失敗を心情的に受け入れ難く,挽回のチャンスに過大な夢を見がちとなる。この二つの場合における異なる心理は投資家を利食いに走らせ,損切りに二の足を踏ませる。
 投資家のもう一つの非合理的な性向は,投機愛好的な性向である。株式投資を「美人投票」になぞらえたケインズの比喩に相通ずるこの性向は,投資家の売買頻度と売買銘柄数の多さで二つに分けることができる。一つは,特定の銘柄を頻繁に売買する投資家の短気(短期志向)であり,もう一つは,保有銘柄をぐるぐる乗り換える投資家の移り気である。そのいずれも,自分だけはゼロサムゲーム的な投機に勝てるという投資家の自信過剰に由来するものである。
 本稿は,投資家の上述の二つの非合理的な性向の関係に焦点を当てるものである。投機愛好的な性向は投資家の根元的な性向で,ディスポジション効果は投資家の枝葉的な性向であることを考えると,この二つの性向の関係は,投機愛好的な性向がディスポジション効果にどのような影響を与えるかという因果関係に単純化することができる。

http://www.jsri.or.jp/web/publish/research/index.html

2件のコメントがあります
  • イメージ
    kabukabumanさん
    2011/2/6 18:11
    私の株歴は実質7年目です。私もフォーナインさん同様仕事が忙しく
    必然的に中長期投資がメインになっています。
    論文の件は興味深く読ませて頂きました。
    私も株を始めた当初は早々と機械的に損切りしていましたが
    損切りばかりではつまらないので、その後case by caseで買い下がる様になりました。
    今になって思えば過去の大勝ち事例は買い下がったケースが圧倒的に多く
    今ではナンピンが一つの投資手法になっています。
    私の場合、課題はむしろ利確のタイミングにあると思います。
    根本的に欲張りなのでw
    何時か究めることが出来れば嬉しいのですが、恐らく永遠の課題でしょう。
    何せ相場は生き物ですからね。
    これからも頑張って下さい!
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    フォーナインさん
    2011/2/6 22:45
    kabukabumanさん
    こんばんは。

    「証券経済研究」はたまたま図書館で手にし、今回初めて目を通しました。個人で購入するには少々お高いので、気になる論文があればまた図書館へ読みにいこうと思っています。

    欲望は諸刃の剣ですね。あり過ぎると失敗に陥り易いし、かといって、ないと行動すら起こしませんから。

    失敗は成功の母といわれますが、母は一人で良いので子供が沢山生まれるようにしたいですね(笑)
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