1/4雑感(2011年予測)

MDRさん
MDRさん

あけましておめでとうございます。今年もMarket Data Researchをよろしくお願いいたします。
昨年の相場ははこれまでと違う動き方をしたため、これまで通用していたシステムでも利益が出せなくなってしまったものが多く、特に逆張りで勝率の高いシステムにとっては厳しい一年となりました。新年を契機にしたシステム変更の考え方と共に、詳しくは昨年12/28の市場雑感で解説していますのでこちらも合わせてご覧ください。
さて、今年の株式市場はどのように動いていくのでしょうか。海外市場は昨年2ケタの上昇をしているところが多く、いわゆるリーマンショック以前の水準まで回復してきています。一方日本の株式市場は日経平均で見ると、2010年で年間-3%という下落で終わりました。これを海外投資家(日本市場の売買高のうち60%は海外投資家の売買です)が「出遅れ」ととらえてくれれば海外資金の流入が起き、株式市場も上昇に向かう可能性があります。しかし、私たちはこのシナリオ通りには行かないのではないかと考えています。
昨年日本株がふるわなかった原因には円高があり、この影響で輸出関連株の動きが芳しくなかったために上昇できなかったという背景があります。これを考えると円高が回復しないと今後も昨年と同様の動きとなる可能性が高いと言えるでしょう。もちろん円高が解消されれば日本市場も上昇に向かうとは思うのですが、実質的に昨年の為替は円高と言うよりもドル安であり、為替市場の動きはアメリカの景気回復にかかっていると言えます。ところがそのアメリカではサブプライム問題以降いっこうに回復しない住宅販売と(なぜ住宅販売が重要なのかについては昨年11/16の市場雑感をご覧ください)、前例のないほど悪化したまま回復の兆しが見えない失業率の問題があります。銀行の破綻件数も、昨年は157件と過去最多を更新しました。いずれも消費と景気に密接に関わりのある問題であり、これらが解消されない限りにおいてはアメリカの景気回復、ひいてはドルの信用回復は難しいと言えるでしょう。
もちろん日本が為替介入で無理矢理円安に誘導する方法もあるのですが、昨年の介入の時に各国から批判されたように、簡単には介入ができない状況にあるのが実情です。背景には今や世界中の国々が自国の通貨を安くし、輸出や観光で景気を上向かせたいと目論んでいるということがあります。諸外国も日本と同じような状況なんですね。日本単独で介入しようにも、現在の為替市場の規模を考えると各国の協調介入がなければ円安の水準を維持するのは難しい状況と言えます。
これらのファンダメンタルズ面から長期的に考えると今年も日本株が大きく飛躍することに期待するのは難しいのではないでしょうか。
一方、直近のテクニカル的な動きを見てみますと、11月の初旬に大きく上昇した株価はその後じりじりと上昇は続けているものの、実質的には踊り場相場となっています。上昇した後の高値の状況にありますので、確実に勝ちたい(勝率の高い投資をしたい)と考えている方は今の状況で買うのはお勧めできません。しかし、大底から回復してきた状況の中で12月は大きな動きがなく、チャートを見ると10月末を起点に左上に直角のくる三角持ち合いの形となっています。このため、腕に覚えのある(シナリオが狂ったときに迅速かつ的確に対応できる)投資家であれば今を投資のチャンスと見て買うという手もあるでしょう。どちらに動くかははっきりとは言えませんが、いずれにしても自分の力量にあった投資をすることが重要な局面と言えます。長期的な展望と短期的な動きは違いますので、長期投資をするのであれば慎重にならなければならないタイミングですが、短期トレードではまだまだチャンスがあると言えます。
今週の指標は、今日アメリカで12月のISM製造業景況指数が発表されます。また、金曜日に同じくアメリカで12月の雇用統計が発表されます。雇用統計は0.1ポイントの改善が見込まれていますが、依然として10%近い高い水準を維持する予想となっており、アメリカの景気回復がまだ先のことであることを匂わせています。いずれにしても予想から乖離した水準となれば大きな手がかりになりますので注目しておいてください。
それでは今年も皆様にとっていい一年となりますように。
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