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不動産セクターに妙味―年初来高値に迫る銘柄、関連業種に波及

不動産セクターに投資妙味が増してきた。東証の業種別株価指数は12月1日の768ポイントから、14日には817ポイントと、半月足らずで50ポイント近く上昇。ここへきて上昇ピッチを上げてきた。なかでは住友不動産 や、東急不動産 のように、4月の年初来高値に急接近してきた銘柄も目立ってきた。また、大手不動産株を中心に、信用取組に妙味がある銘柄が多く、12月からの急ピッチの上げに売り方の買い戻しも目立っている。

上昇のきっかけはピークアウトしてきたオフィスの空室率や、新築マンション、戸建ての販売回復など不動産を取り巻く環境が最悪期を脱しつつあることに加えて、REIT(不動産投信)人気が後押しした。人気化は日銀が量的緩和の一環として、REITを買い入れる(枠500億円)ことを決めたため、買い安心感が高まったことが大きい。不動産業界全般が暖まってきた格好だ。

 一方、国内最大クラスの事業不動産のデータベースを持つ、シービー・リチャードエリス総合研究所(CBRE総研)は13日、「オフィスに対する意識調査2010」を公表。これはテナント(オフィス入居)企業に対するアンケート調査で、2年ごとに実施しているもの。

 このなかで、オフィス需要の流動性を、今後移転の計画がある企業の割合から見ると、前回の28%から37%に大幅増加していることに注目。CBRE総研では「流動性の回復は一般的には、賃貸マーケットの活性化につながり、ひいては引っ越し、内装、家具などの関連業種にプラスの波及効果を及ぼすことが期待される」(チーフアナリストの前澤威夫氏)という。

 今後は、ど真ん中の不動産株の追撃はもちろん、引っ越し業、エクステリア関連やオフィス関連の銘柄に注目が集まってくる可能性もある。売買単位が100株のコクヨ とイトーキ 。低位に甘んじている配当継続企業の東リ 。3銘柄ともPBRは1倍を大きく下回る評価不足の銘柄だ。(阿部秀司)

<CBRE>=CBRE総研の前身は生駒データサービスシステム。全国のオフィス、物流施設などの賃貸条件やテナント誘致などのマーケット調査を行う。さらに、シービー・リチャードエリスグループ(本社・米ロサンゼルス)は世界300カ所以上に拠点を置く国際的な不動産サービス会社で、ビジネスウィーク誌の「ベスト・イン・クラス」50社に3年連続で選出されている。

提供:モーニングスター社
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