先週は上昇を続ける日本株に対して、「現在は買っても利益が出せるかどうかわからないタイミングであるため、買うことはお勧めできません」と書きました。基本的に今週も価格水準は先週と変わらない位置にありますので、同じように買うことはお勧めできないと言えます。
ただ、先週一週間で見ると株は若干の下落となっており、ここまでの上昇の急激さを考えると一種の時間調整とも取れなくはない動き方を見せています。また、為替も大きく円安に動き、先週末には一時84円台に乗せる場面も見られました。このため、引き続き株価が上昇していく可能性は先週より高まっていると言えるかもしれません。ただし、これは過去の数値を元にした根拠のある予測ではないため、私たちは株価が下落しない限り株を買う予定はありません。
また、23日に北朝鮮が韓国に対して砲撃するというまさに想定外の材料が出ましたが、その後砲撃が続くわけでもなく、株式市場は比較的反応が薄かったと言えるでしょう。この土日も米韓の合同演習開始に伴って何か起きないかと警戒していたのですが、結果的には何も起こらずに過ぎました。
今週の株式市場も引き続き朝鮮半島情勢を横目で見ながらの市況になると考えられますが、全体的には為替以外の材料に乏しいということができそうです。
今週の指標は、今日アメリカで注目の住宅価格指数発表があります。住宅販売件数と直接連動する指標のため、注目しておく必要があると言えるでしょう。同じく今日日本では10月の失業率が発表になります。先週も書いていましたがこちらにも注目しておいて損はありません。アメリカでも金曜日に雇用統計の発表があります。雇用関連の指標は経済の底力を測る重要な指標で、特にアメリカの雇用動向はここ数年で最悪の状況にありますので、予想値と乖離があれば材料として重視される可能性が高いと言えるでしょう。
明日は中国の製造業購買担当景気指数発表があります。中国の存在感は年を追うごとに大きくなっており、特に今週のような材料に欠ける週は指標にも反応しやすいと思われます。
最後にギリシャに引き続いてアイルランド問題、さらにはその先のスペイン、ポルトガルにも不安を抱えている欧州で木曜日にECBの理事会が予定されています。EUとIMFから支援の決まったアイルランドですが、先週はS&Pが格下げを行いました。 今週のECB理事会でもアイルランドについて何らかの展開があると思われ、良い方向に行くにせよ、悪い方向に行くにせよ材料になる可能性が高いと考えられます。
先行きのはっきりしない株式市場ですが、機関投資家と違い、個人投資家は投資をしないという選択ができます。損をしないように自分が利益を出せる相場展開の時だけ投資を行うということも立派な戦略です。特にこれだけ上昇した後で利益を出せるレベルの投資家は多くはありませんから、先週に引き続き、ほとんどの方にとっては様子見というのが最良の選択なのではないでしょうか。