APECとG20首脳会議が終わりました。といっても特段これといった内容はなく、週明けの株式市場もどっちつかずな展開をしています。G20の首脳会議では、閣僚会議でアメリカが提示した経常収支ガイドラインについての結論が先送りされたということは日本にとっては大きなことですが、提案された時点で多くの国が賛同するとは考えにくい内容であったため(突拍子もなかった分、マスコミはおもしろがって取り上げていましたが)、予測の範囲内といったところです。
これから数日の株式市場の推移ですが、日経平均は一旦大きく上昇し、自然な流れとしては反動で下落方向への圧力が強まってくると考えられます。ただここ数ヶ月の間天井として意識されていた9,700円~9,800円のラインを越えることができたことで、下落の値幅ではなく、時間で過熱感を調整する可能性もあります。対ドルの為替が先週あたりから相対的に円安方向に向かい始めているため、これによる上昇への動きを過熱感からの下落圧力がふたをして、結果的に足踏み(時間調整)するという流れが一番あり得るシナリオでしょうか。
とりあえず気をつけておくべきは先週アメリカ株が大きく反応した中国の利上げに関するニュースでしょう。今やどこもかしこも青色吐息の先進国に代わって、中国の利上げは世界中の商品市場で利益確定の動きを出させてしまうほどに存在感の大きなものとなっています。今週は今のところ景気先行指数の発表があるくらいですが、これまでの動き方を見ていると(突発的な発表も多いため)目が離せません。
今週の国内と欧米の動向ですが、大きなところではすでに昨日発表になっている国内GDPがあります。これは予想外に好転しており、すでに十分上昇していた日本市場をさらに押し上げる形となりました(といっても金曜日の下落を取り戻すまでには至っていませんが)。また、木曜のアメリカ住宅着工件数も注目しておいて損はないでしょう。サブプライム以降アメリカの住宅動向は低迷を続けていますが、アメリカにとって住宅販売の低迷は大きな意味を持っています。アメリカの金融機関は住宅価格の上昇を前提に本来資金を借りることができない層(=サブプライム層)に対して与信を行い、住宅購入を可能としていた、というところがサブプライム問題の中心として報道されていますが、話はこれで終わりではありません。その住宅を担保に車をはじめとする耐久消費財一般を買うことが可能だったということがポイントです。つまり、住宅販売の不振はその他販売業種全般の低迷に直接つながる事柄でもあるのです。当然消費が伸びなければ失業率も上がり、さらにサブプライム層が増えていく…、という実体経済の悪循環に入っていることは疑いようがありません。
今後の投資戦略を決める上で、アメリカ住宅販売の動向はカギになると言えるでしょう。