先週今週と株式市場は為替に振り回されていますが、逆を言えば今の株式市場には為替以外に大きな材料がないという状況でもあります。株価は動かなければ投資するチャンスが来ません(投資しても利益につながらない)ので、そういう意味では市場参加者としては面白味に欠ける展開といえるでしょう。
ここのところの出来事で大きかったのはG7、G20であり、ここで取り上げられたのも為替に関する話題でした。両会議共にこちらのブログやツイートでも時々取り上げていた、各国の自国通貨安誘導に対して歯止めをかけるということを大きな目標として掲げて行われました。
G20では「通貨の競争的な切り下げを回避」する声明を採択し、G7の声明では「最近の円の過度の変動ならびにそれが経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを懸念」という形で特に円に対して言及した上で、市場の状況に注視する、としています。また、通貨安=経常収支が黒字化する、という側面があることから各国の経常収支を4%に制限するという議論もあったのですが、こちらの結論は次回以降に持ち越しとされました。
これらを受けて昨日の市場はどうなるか注目していたところ、朝方は確かに若干円高に歯止めがかかったような動きに見えました。しかし、結局のところドル安に対して具体的な対策が出たわけではないという認識が台頭し、午後には一ドル80円台前半まで上昇しています。80円の壁は固いように見えますが、心理的な節目として機能しているだけで、70円台に乗る時期も遠くはないのではないかと思います。
今週はあまり大きな指標の発表はなく、今日アメリカで発表される住宅価格指数と、同じく明日アメリカで発表される耐久財の受注状況統計くらいでしょうか。金曜日のユーロ圏失業率も注目しておいていいかもしれません。同じ金曜日には国内でも失業率の発表がありますが、国内の失業率はさほど悪化していないと思われますので、大きな材料とはならなそうです。また、国内住宅着工件数の発表も同じ日ですが、こちらもアメリカと違って(景気が悪い分数値としては悪化しているにしても)着工件数激減、のような状況ではないでしょうから、材料としては強くないと思います。ちなみにアメリカの住宅産業は現在向こう一年分の在庫を抱えているといわれており、まさにありえないほどの悪い状況といえます。アメリカの住宅関連指標には注意が必要です。
28日には金融政策決定会合と白川総裁の会見がありますが、ゼロ金利政策と債権買い取り策まで発表した今、日銀からこれ以上の好材料となりうるサプライズ発表はないのではないかと思います。逆にまさか利上げや引締めということもないでしょうから、予想の範囲内の発表となり、材料視はされないと思います。