※この内容はMarket Data Research Websiteに掲載されたものと同じです。
システムトレーダーの皆さんは先週はかなり歯がゆい週だったのではないかと思います。私たちのシステムも2日にシグナルが出ていたのですが、買い判 定の条件に引っかかって買いの指示までは出ませんでした。休み明けの日経平均二日連騰に乗れず、悔しいと思っている方も多いのではないかと思います。
しかし、もし今回の株価動向で「損をした」と思い、自分のシステムに信頼が置けない、むしろシステムが悪い、というような考え方になっている人は、まだそのシステムを運用するだけの能力を持っていないのかもしれません。システムが出す売買指示通りに取引を運用することはとても難しいことです。システムトレードの弱点についてのコラムや、その続きのコラムで書いているように、システム運用にはレベルがあり、自分の能力にあったシステムでなければ、運用に問題が出て損失を出してしまうことになるのです。
確かに上昇前に買えなかったことはもったいなかったかもしれませんが、今回の上昇はファンダメンタルズ要因で急に動いたものであって、通常状態での 人の心理を前提とした株価動向を計算するシステムではそもそも判定のしようがありません。そういう意味ではシステムトレードに万能を求めるのは間違ってい るとも言えます。
しかし過去のデータを見ると、今回程度の下落状態から自然に上昇に転じているケースはまれです。つまりもしファンダメンタルズ上のプラスのサプライ ズが出ていなければ、株価は下落していた可能性が高いと言えるのです。またFOMCでの追加緩和についても、市場が要求していたのは5,000億ドル規模の、 通常では考えられないような巨額のものであり、もしFRBがこれより少ない金額しか提示しなかった場合には株式市場は失望売りで大きく下落していたことで しょう。中間選挙での民主党敗退による政局不安もそれを後押ししたはずです。
※この内容はMarket Data Research Websiteに掲載されたものと同じです。
ファンダメンタルズで投資を行った場合には、FRBがどう動くか確固たる根拠を用意できない状態で想像(確実な根拠があるのであれば、それはインサイダー取引です)して上昇するか下落するかわからない中、五分五分の賭に出るしかない状況だったと言えます。つまり、ファンダメンタルズで投資したと しても、今回の相場で儲けることが出来ていたかどうかはわからないのです。
結果的に上昇したけれども下落のリスクをとらずに済んだ、と考えるか、システムのせいで買うタイミングを逸したと考えるかは成功するシステムトレーダーになれるか否かを分ける重要なポイントです。また、資産を守るという意味でも今回のような不安定な要因にゆだねられた状況では動かないということは重要なことと言えるでしょう。
システムが買いサインを出した時、確実に勝てる機会がやってきた時には是非利益を出してください。