ここ10~20年、日本で起きている現象は、日銀の通貨供給量の不足→ 国内経済の実力以上の過剰な円高(円高トレンドの継続)→ 企業と雇用の海外シフト(空洞化)→ 国内消費や国内設備投資の減退→ 景気低迷→ 物価上昇率と金利の低迷→ 物価低迷に応じた購買力平価の低落、、、(購買力平価に応じているから円高ではない、という最近の論調は本末転倒。その時々で適正レートに収束しても、絶えず円高方向にシフトする状況では空洞化が進む)
過剰な円高がイケナイのは、輸出産業のみならず、サービス産業や国内向け生産工場も海外シフトしてしまうこと(=技術、ノウハウの海外流出)。 国内品が輸入品に押されて壊滅してしまうこと(=国内業者でなく、海外業者にお金が流出)。
つまり、過剰円高では、景気低迷、雇用低迷で所得は伸びないうえ、富(技術やノウハウも)が海外流出する一方になってしまうのです。
過剰円高では、輸出産業のみならず、内需産業も壊滅するので、内需主導型経済にはならない。 円高で購買力を上げて内需主導型経済に、という論調はクレージーです(購買力が上がる以前に所得や雇用を失う)。
逆に、過剰な円安にすれば、内需産業も輸出産業も活性化し、国民所得も増えて、内需は活性化していく。 つまり、輸出と内需は対立するものでなく、並行して伸縮するもの。 この点からも、内需主導型経済論は誤り、と言えます。
ゆえに、今、為すべきは、将来にツケ回しして、一過性の内需拡大を図ること、ではない。 通貨供給を増やして、過剰な円高を抑え、過剰な富(技術、ノウハウも)の流出を抑えることこそ重要。 それでこそ、持続的な内需拡大になるのです。
P.S.日本が「過剰な」円高になっていることは、ここ10年、日本人の純資産の伸びが、欧米に劣っていることからも明らか(ほとんど伸びてない!)。先進国中、日本のみ、富の流出(or伸び悩み)が続いているわけです。