三角関数の微分という考え方

スケアクロウさん
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 連休中ということもあり、ちょっと脱線したお話をしたいと思います。

 日頃使っている「出荷在庫バランス」や「在庫循環モメンタム」の基本的な考え方についてです。

 それにしてもなぜ「三角関数」なのか?

 実は三角関数は周期関数なのです。その周期関数を「微分」するということは、周期の変化をつかむことを意味しています。

 もとの周期関数を微分した関数(導関数)には面白い特徴があります。次の図をご覧ください。上の黒い曲線が元の関数、下の赤い曲線が導関数です。



 このままでは分かりにくいかもしれませんが、重ね合わせてみると、導関数はもとの関数に先行して動いていることがわかります。ここがポイントです。

 景気は波動を描いて変動しています。現実の経済は、いくつかの異なる周期をもつ景気波動の合成波と考えることができます。

 在庫の変動によって作り出される景気サイクルは3-5年程度の周期をもっています。

 その在庫変動による景気変動は一般的には在庫率で計測されています。

 そして、その在庫率の変化をとらえたものが「出荷在庫バランス」であり、「在庫循環モメンタム」なのです。正確には、在庫率の逆数(出荷/在庫)の変化を「出荷の変化率マイナス在庫の変化率」として簡易的に計測するわけです。

 つまり、出荷や在庫などの実績数値を用いながら、それらによって描きだされる景気サイクルに対して「先行する景気サイクル」を把握しようとするわけです。

 株価は一般的な景気サイクルにたいして先行して動きますが、「先行する景気サイクル」とはほぼ同時に動くようです。

 

 これが、「出荷在庫バランス」(数量ベース)、「在庫循環モメンタム」(金額ベース)にこだわる理由なのです。

 なぜこのような理屈っぽいお話をするかについて一言。

 私がアナリストという職業に就いた最初のころは、銘柄推奨は結構良い成績でした。ところが、証券分析や株式市場に関する経験を深めるほどに、どんどん成績が悪くなっていきました。

 真剣に取り組むほどにパフォーマンスが悪くなるのですから追いつめられてしまいました。もう無理かと思ったときに頭に浮かんだのが「三角関数の微分」だったのです。

 この多少理屈っぽい見かたがなければ、25年以上にわたってアナリストを続けることはなかったのだと思っています。

 その意味で、この簡単な数式(出荷の変化率マイナス在庫の変化率)をちょっとだけお話してみました。

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