金曜日にダウ平均株価は197.84ドルの急騰を見せました。それを牽引したのは、ユーロに対して急速に安くなったドルと、輸送機器を除いたベースで、コンセンサスを上回る伸びを見せた8月の耐久財受注でした。
そこで、8月の耐久財受注統計をもう少し詳しく見ておきたいと思います。
この統計は、在庫循環モメンタムの作成に用いている「製造業出荷・在庫・受注統計」(「3M」と呼ばれています)の耐久財の部分を早めに公表したものです。
まず、耐久財受注と受注残の前年同月比増減率の推移です。8月の受注はほんの僅かですが前月に比べて上昇しています。しかし、この上昇が基調転換の兆しとなるような重要な動きには見えません。ピークアウトから減速に向かう動きに変化はないと見ています。
受注残高は多少伸び率が高まっているように見えます。しかし、受注残高の絶対額の最近の動きを追うと、水準は低くはないのですが、頭打ちの傾向が鮮明です。
耐久財の出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いて作成する景気指標である「在庫循環モメンタム」を見ると、次のようになっています。受注の動き以上に減速の動きが明瞭です。
ということで、8月の耐久財受注は、民間航空機受注の低迷から、輸送用機器を除いてみれば、コンセンサスを上回る増加となったのですが、全体の動きを過去の推移も踏まえて判断すると、決して楽観できない情勢であると考えています。
株式市場への影響度という点から見れば、為替の影響がはるかに大きく、それに比べて耐久財受注のインパクトは限定的だと理解していますが、今後の景気の動向に対して、警戒を怠るべきではありません。
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