◆太陽光パネル製造装置のエヌ・ピー・シー、独社買収
2010/09/06 01:04

 太陽光発電パネル製造装置大手、エヌ・ピー・シー(NPC)はドイツの同業メーカーを買収する。パネルの最大の需要地である欧州に生産拠点を確保し、円高・ユーロ安による装置輸出の採算悪化に対応する。欧州の販売網も大幅に拡充する。太陽電池の製造の中心が日本国内から海外に移るなか、アルバックや東京製綱も海外拠点を拡大するなど、装置メーカーの海外展開が加速している。
 NPCが買収するのはドイツのマイヤー・ソーラーソリューションズ。パネル製造ラインのうち、真空中で太陽電池を封止する工程の装置を製造している。年30億~40億円程度だった売上高は、金融危機による欧州の太陽光発電市場の低迷で、2009年12月期は20億円台に減少。7月に事業継続に行き詰まり、管財人の下で、支援企業を探していた。
 NPCは負債の一部を切り離したマイヤーの事業を買収することで、管財人と合意した。買収総額は約10億円。マイヤーの社名は変更せず、従業員110人と製造・販売拠点、知的財産権などを引き継ぐ。
 マイヤーはドイツ国内に2カ所の工場を保有している。NPCの松山市内の工場から欧州に輸出していた製品は、マイヤーの工場での生産に移し、為替リスクを軽減する。太陽光発電パネルの2大生産地である欧州とアジアに工場を持つことで、分業体制を構築する。
 NPCは太陽電池に電極や保護シートなどをつけ、パネルに組み立てる装置の世界最大手メーカー。従来3割程度だった欧州市場でのシェアはマイヤーの買収で5割を超える見通しだ。
 米調査会社、PVニュースによると、日本国内で製造した太陽電池の割合は07年には世界全体の25%だったが、09年には14%まで低下した。新規の製造拠点の建設予定も海外に多いことから、アルバックは生産機能の大半を中国など国外に移転する方針だ。太陽電池の原材料の切削装置を作る東京製綱も、装置製造の主要拠点を年内に中国国内に新設する。

関連銘柄 6728(アルバック(6728)) 6255(エヌピーシー) 5981(東京綱) 
関連銘柄
エヌピーシー
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<話題>エヌピーシーの業績拡大に弾み、独競合企業買収を発表
12時57分配信

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 太陽電池製造装置大手のエヌ・ピー・シー は6日午前8時、ドイツの太陽電池製造装置メーカーMeier Solar Solutions GmbH社(以下マイヤー)の事業を譲り受けたと発表した。新生マイヤーとして孫会社を設立し、そこで負債の一部を切り離した事業を譲り受ける。日本のほかドイツでもフルラインアップの生産体制を敷くことで、納期短縮などシナジー(相乗)効果を追求していく。

 マイヤーはエヌピーシーが主力とする太陽電池製造装置の一部となる真空ラミネーターの競合企業だったが、事業環境の悪化が進み、7月に倒産した。「マイヤーにとっては、スペインの太陽電池市場の落ち込みをはじめ、欧州金融危機を背景に思うように融資を得られないなど事業立て直しとしてはタイミングが悪かったようす」(エヌピーシー・企画情報部)という。

 買収総額は約10億円で、「マイヤーは、太陽電池事業者としては世界第2位の実績を持つ企業。年間売上高は30億-40億円」(同)だったことを考えると、かなりの“お買い得”だった可能性が高い。一部報道では、マイヤーの買収により、エヌピーシーによる欧州市場でのシェアは5割を超えるとの観測も出ているほど。ただ、エヌピーシーでは、市場シェアの観測報道に関してはコメントを控えている。それでも、マイヤーから引き継ぐ従業員や製造・販売拠点、知的財産権などはエヌピーシーには事業拡張を図るには格好の買い物だったはずで、太陽電池業界の勢力関係に小さくはない影響を及ぼすことになりそうだ。欧州の太陽電池市場は、一時の低迷期を脱し、「再拡大の時期に入っている」(同)ことから、エヌピーシーにとっては、存在感を一段と高める好機到来といえそうだ。

 今回の買収により、11年8月期連結業績に与える影響は現在精査中。詳細は、10月8日予定の本決算発表時および14日の決算説明会の場で明らかにする。12年8月期以降の業績拡大期待が高まる。
 発表を受け、エヌピーシーの株価は実に7日ぶりに反発した。午後零時50分現在は、前週末比47円高の1601円。(岩村信太郎)

.最終更新:12時57分
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