ポイント
米国株式市場が好調です。果たして、この状況が続くのでしょうか? 商務省が3日に発表した「製造業者出荷・在庫・受注統計」を使って、今後の展開を考えてみたいと思います。結論としては、利益確定売りによる突然のマーケットの急落を投資チャンスとするような投資戦略が望ましいと考えます。
米国株式市場の上昇は続くのか?
ダウ平均株価は1週間で2.93%の大幅上昇となりました。水曜日のISMによる8月の製造業景況指数が予想を大きく上回り、金曜日の8月雇用統計で、非農業部門雇用者数の減少がコンセンサスよりも少なかったことが、マーケットの上昇を牽引しました。
問題はこれからです。忘れてならないのは、景気回復の本格化を予想してマーケットが上昇しているわけではなく、懸念された「2番底」が回避されそうだという安堵感が大きく寄与したと見られることです。「予想より悪くない」ためマーケットが押し上げられたわけです。
ということは、ここから先は、一段の株価上昇を担うべき景気回復に伴う利益の増加が期待できるわけではないために、どこかの時点でかなり急激な利益確定の動きが出てくる可能性が高いと考えます。
では、どの時点なのか? 正直なところ特定できません。 しかし、常識的には、メイン・イベントになるような経済指標の発表後ということになりそうです。だとすると、雇用統計。
したがって、先週金曜日に、雇用統計で大幅に上昇したダウ平均株価が、予想を下回るISM非製造業景況指数で急速に調整した動きが気になります。結局は戻して終了しているのですが、明らかに、マーケットがかなり上昇していて、悪いニュースに反応しやすい状態になっていることを示唆しているからです。
景気の方向性が減速ではなく、加速とならない限り、利益確定の本格化は避けられないと見ます。
その景気の方向性を、商務省が2日に発表した「製造業出荷・在庫・受注統計」で確認しておきたいと思います。出荷の増減率から在庫の増減率を差し引いて作成した景気の先行指標である在庫循環モメンタムは、このようになっています。
下落が鮮明になってきました。景気は加速ではなく減速です。今後の動向を織り込んだもので見ると、減速はさらに進みそうです。
この在庫循環モメンタムを長期で見ると、頭打ちが避けられそうもない状況が一段と鮮明です。
在庫循環モメンタムとダウ平均株価の動きをみると次のようになっています。
この米国の状況が日本と何の関係があるのか?実は、日本の在庫循環モメンタムは米国と非常に強く連動しているのです。
米国で利益確定売りで反落すれば、日本はその動きに連動しそうです。その時に円高になっているのか、円安になっているのかで、米国株式市場の調整のマグニチュードが増幅したり軽減されたりするのではと見ています。
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