経済産業省が今日発表した7月の鉱工業生産動向を、出荷在庫バランスで見てみたいと思います。景気減速の姿がかなり鮮明に映し出されてきました。
出荷在庫バランスは、出荷の増減率から在庫の増減率を差し引いて算出する景気指標です。より詳細な解説は、「 ご質問に答えて:出荷在庫バランスについて 」(2010年5月2日)をご参照ください。
まず。鉱工業全体の動向です。出荷在庫バランスは2月、3月でピークをつけ、4月から下落基調が鮮明になっています。7月はこの基調に沿った低下となっています。
次に鉱工業の中の耐久消費財。主力は乗用車です。昨年春以来、景気回復を牽引してきましたが、大きく調整が進みました。ただ、7月は下落が一段落になっています。エアコンの出荷が前年比で19.9%の急増となっているのが目を引きます。
非耐久消費財の出荷在庫バランスは前月に比べて改善しています。暑夏のため、夏物衣料や食品に好調なものが多かったのが特徴です。
資本財は頭打ちが明らかになってきました。
ただし、輸送機械を除く資本財で見ると、7月は僅かとは言え前月を上回り、好調さを維持しています。金属工作機械などの状況が良いようですが、飲料用自動販売機の出荷が前年同月を11.2%も上回っているのが目立ちました。
建設財は停滞色が強い展開です。ただし、この中に含まれる太陽電池モジュールの出荷が前年同月比16.8%も伸びるなど、健闘している分野もあります。
生産財は、耐久消費財と並んで、昨年春からの景気回復を支えてきたのですが、減速が鮮明です。主力分野である半導体を含む電子部品の軟調な動きが気になります。
以上のように、鉱工業全体を見渡すと、景気回復を先導してきた自動車などの耐久消費財、半導体や電子部品などの生産財というエンジン役の分野の減速が顕著です。これからしばらくの間は、減速感が一段と強まりそうです。これについては、別の機会にもう少し詳細にお話しようと思っています。
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